『フランス中世史夜話』〜ブックレビュー〜 [中世ヨーロッパ・騎士物語]
“中世史”というだけで飛びつくのもどうかと思ったのですが、中身も見て面白そうだったので読んでみました。
雑誌に連載していたものを編集し直して出されたようです。文章は半ば論文形式で、カタいエッセイという印象を受けました。短編の完結したエピソードが多数収録されていますが、たいてい中世の史料に依っているので教会関係の逸話が多かったです。というのも、中世の史料というのはあまり多くなくて、文章を残せたのが教会の聖職者や国王付きの歴史編纂者などに限られていたんです。
そのためこの本でもキリスト教神学だったり、異端の問題、修道院の発展などの話が中心になっていました。キリスト教で面白いのは、キリスト教以前の多神教時代から土着に根付いている物語も、教会が介入してくると全て悪魔に結びつけてしまう所だと思います。この本ではそういう物語の変遷が追えるものもあって、その点で楽しめました。
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