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歌集『サラダ記念日』を読んで 〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]

 毎年、知人には「サラダ記念日メール」なるものを送っておきながら、初めて読みました。俵万智さんの歌集『サラダ記念日』。驚いたのは、この歌集には二十歳から二十四歳までにつくった歌が収録されているということ。しかも作者が短歌を初めてつくったのは大学3年生。このキャリアで日本歌壇に革命を起こした作者の才能に、あるいはそれを受け入れた当時の歌壇の懐の深さに、感嘆しました。


サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)

サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)

  • 作者: 俵 万智
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1989/10
  • メディア: 文庫



 収録されている歌に関して私が思ったのは、わかりやすく軽快だということ。日本で伝統的に歌われてきた五七五七七の定型なのに、堅苦しさがなく、口語体が自然に読んでいる私の心に入ってくる感じがしました。詠まれている内容も現代の日常で(といっても20年以上前ですが)、大仰でない生活感にあふれています。



 それから、ここらへんは和歌の基本思想なのかもしれませんが、恋の歌がとても多い。この歌集に出てくる女性は驚くほど軽快に恋をして、軽快に別れていきます。まともに読むと、どれだけ恋多き女性なんだと思ってしまいます。とても私にはマネできない(笑)

 ただ、それぞれの別れを悟る女性の心理描写は見事で、軽やかに恋をする主人公の屈託のなさと、それを短歌のリズムに乗せて二十代女性のリアルな恋愛感情を浮き彫りにする俵万智さんの繊細さが、歌の中で奇妙に同居しているという印象を受けました。

 この歌集を読んでいると、短歌を詠むのって意外と簡単なんじゃないかとか、そんなに格式ばらないでどんな題材でも短歌が作れるんじゃないかとか、そんな思いが生まれてきます。すでにブログにも載せてますしね(笑)

 何事にも感化されやすい性分で、自分でも安っぽいなと思うんですが、これからちょっと短歌のコンテンツが増えるかもしれません(笑)
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