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国立近代美術館の《騎龍観音》 [アート]

 前回の記事で、国立近代美術館の所蔵品ガイドのお話をしましたが、今回はそのガイドで紹介されてすごく気に入った絵について書こうと思います。その作品は原田直次郎作《騎龍観音》(重要文化財)です。

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 原田直次郎《騎龍観音》(1890) ※画像は国立近代美術館HPより。

 遠くからこの絵を見たとき龍が見えたので、私ははじめ西洋の神話をモチーフにした絵だと思いました。それが近くに寄ってみると、龍の背に乗っているのは観音様ではないですか!


 私が不勉強なだけかもしれませんが、龍の背に観音様が乗っているという構図は初めて見ました。しかも油絵で龍の絵を描いているのが日本人っていう発想もなかったんですよね。第一印象で感じたのは単純にそんな驚きでした。



 それからガイドさんの解説を聞きました。原田直次郎は21歳でドイツに渡ってミュンヘン・アカデミーで絵画を学び、3年後に日本に帰ってくるんですが、当時は洋画排斥の運動が高まっていて、油絵の地位がとても低かったんだそうです。直次郎はその中で洋画の良さを訴える活動をして、大作《騎龍観音》を生み出したんです。


 この絵は第三回内国勧業博覧会に出品されるのですが、賞は受けなかったそうです。その後、直次郎はこの絵を護国寺に寄贈します。ドイツで学んだ直次郎は、宗教画は宗教施設に飾られるのが最も適当だと考えたんだといいます。


 保存管理の問題から、それから国立近代美術館に寄託されることになったそうですが、これが護国寺のお堂に飾られていたらどんなに圧倒されるだろうと思います。ちなみに、大きさは272×181cmもある大作で、当時それだけのキャンパスが見つからず、布を2枚張り合わせて画面にしたんだそうです。


 西洋で見るような油絵の「宗教画」が日本で描かれていたということに魅力を感じました。当時の美術史上の時代背景を知ると、そのことの尊さがより強く胸に迫ってきます。


 国立近代美術館では明日から一週間、展示替えがありますが、その後の所蔵作品展でも《騎龍観音》は観ることができます。ぜひ足をお運びください。

東京国立近代美術館HP

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イソップ

tacit_tacetさん、niceありがとうございます。

by イソップ (2009-12-14 07:37) 

イソップ

★「女優ミラー」広報♀さん、niceありがとうございます。

by イソップ (2009-12-16 16:11) 

朝山 無徳

サライ雑紙で騎龍観音を見て驚きました。インドの上空で飛行機の窓から撮影したバジュラバラヒーの写真とほぼ同じでした。写真は東京国立図書館に送り見ていただきました。真言はオンァフーンバジュラグルパドマシッディーフーン。写真と同じに仏像を楠で作りました。
by 朝山 無徳 (2013-03-22 08:24) 

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