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「エル・グレコ展」を鑑賞 [アート]

 友人に誘われて、上野の東京都美術館で開催されている「エル・グレコ展」を観てきました。51点まるまるエル・グレコ。とても中身の濃い作品群でした。

blog-279 エル・グレコ展.jpg


 内容は大きく分けて肖像画と宗教画の2つでした。比率としては7:3で宗教画の方が多かったです。



 誰が描いても同じだろうと思うから、肖像画を観るのはあまり好きではないのですが、グレコの描く肖像画は見応えがありました。だいたい肖像画というと、描く対象を良く描こうとしてキレイめに描くと思うんですが、グレコの作品にはそうした意図があまり感じられません。


 むしろ人物の生身の姿を忠実に描いているように思いました。顔が青白かったり、頬がこけていたり、すこしやつれていたり。そこにその人の人生の奥行きが表現されているようで、見入ってしまう迫力がありました。


 宗教画も感情に訴える表現が豊かでした。様々な主題を描いているグレコですが、特にスペインに渡ってからの作品は対抗宗教改革の意図が色濃く反映されていました。


 私が最も強く印象に残ったのは、二つ並べて展示されていた受胎告知の油彩画です。今までに観たことのある受胎告知の絵画は、どれも静的で、天使ガブリエルのお告げにマリアが耳を傾け、神の子を身籠もることを受け入れる厳かで動きの少ない場面として描かれていました。


 ところが、グレコの描く受胎告知では、天から聖霊が降り来たる姿が稲妻が落ちるような描写と共に描かれ、極めて躍動的で、激情的な場面に仕上げられています。そこに私はマリアと神との間の情熱的な営みさえも想起しました。

エル・グレコ「受胎告知」

 今回の展覧会で、感情の表現の巧みさや独特の色彩描写など、エル・グレコの魅力を改めて感じました。他の画家にはないタッチの粗さが感情を表現する上でとても上手く作用していることもわかりました。エル・グレコは、私の好きな画家の一人と言えそうです。


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コメント 4

アマカワ

お久しぶりです。

まるっとエル・グレコはなかなか濃いですよね。
タッチもまるっきり他の画家と異なりますし、当時から異色な画家だったんでしょうね。主線がはっきりしたタッチも、この時代には珍しい気がします。

見に行こうかなー
by アマカワ (2013-02-22 17:44) 

イソップ

アマカワさん、お久しぶりです。

エル・グレコのタッチはとても独特でした。
他の画家にはない引き込まれるような魅力があります。

ぜひ観に行ってください♪

by イソップ (2013-02-22 21:41) 

エル・グレコ

初めて知りました。名前は聴いたことあったけど画をこうやってちゃんと見るのは初めてかも。ちょっと時代は違うけどシャガールに近いモノも感じますね。自由にのびのび描いてる感じがします。勿論古典なので緻密な計算と技術があるのかも知れませんが

タッチの粗さが感情を表現する上でとても上手く作用している。成る程深い分析です。カーボーイ新コーナー雑なヒント始まりましたが投稿してみましたか?僕はもう採用されないだろうと諦めつつ投稿してみます。
今夜はニッポン放送で何十年ぶりにたけしが夜の一時にさんまと一緒にラジオをやるそうですね。起きてたら聴いてみたい。

一時期はダリの絵が好きでした。今も。
by エル・グレコ (2013-02-23 10:26) 

イソップ

耕作さん?コメントありがとうございます。

お返事が遅れて申し訳ございません。
ちょっとの間ブログを放置しておりました。

シャガールだともうちょっと抽象的というか、観念的な絵を描くイメージがあります。
ダリも独特でおもしろい絵ですね。

カーボーイの「ど忘れクイズ ヒントが雑」はかなりおもしろいコーナーになっていますね。いつも思いますが、田中さんの必死で考える姿勢が面白さを倍増させている気がします。

何通か送りましたが、採用されそうにありません(笑)

by イソップ (2013-03-09 19:54) 

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