小説『風に立つライオン』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
さだまさしの小説『風に立つライオン』を読みました。以前ご紹介した映画「風に立つライオン」の原作小説です。やはりこれも読んで良かった。本当に素晴らしい、魂のこもった物語でした。
あらすじは映画とだいたい同じで、ケニアに渡った医師・航一郎が物語の中心。彼が歩んだ道のりを色々な人が証言する形で進んでいきます。私はさださんの小説は過去に1、2本しか読んでいないのですが、この表現力は見事です。男性、女性、若者、老人、そしてアメリカ人と、様々な人の言葉を口語文で書いているのです。
特に、ケニアの赤十字病院の院長の回顧。本当にアメリカ人が使う単語を日本語に訳したような、しかも医者っぽい格式張った言葉で表現しています。これはすごい才能だと思います。
映画では、航一郎と彼の患者でケニア人の少年のンドゥングの物語でクライマックスを迎えますが、小説の結末はまだずっと先にあります。そう、小説では「あの日」の続きが描かれているのです。
小説でも、映画でも、冒頭は2011年3月、石巻にンドゥングがやってきたところから始まります。彼は震災直後の石巻に、日本を助けるためにやってきたのです。
ここから先の物語は、作者のあとがきなどから察するに、おそらくは一部事実を元にして書かれていると思います。石巻の避難所で、カリスマ的なリーダーとなって被災者を支えた青年たちのドラマです。そこに異邦人とも言えるンドゥングがゲスト出演して、物語に深みを与えています。
小説として美化されている部分ももちろんあると思いますが、これは私が今まで目を背けてきた、そして私たちが知っておかなくてはいけない、被災地の現実です。ただ、さだまさしさんは、つらく、過酷なはずの被災地の現実を、彼らを通して明るく、前向きな現実として描いてくれています。
ここで紡がれる「命のバトン」は、本当に美しく、1987年の最初の風よりもいっそう広く、遠くまで、つながれていくと思います。私もこのバトンを胸に抱いて、これから生きていこうと思います。
あらすじは映画とだいたい同じで、ケニアに渡った医師・航一郎が物語の中心。彼が歩んだ道のりを色々な人が証言する形で進んでいきます。私はさださんの小説は過去に1、2本しか読んでいないのですが、この表現力は見事です。男性、女性、若者、老人、そしてアメリカ人と、様々な人の言葉を口語文で書いているのです。
特に、ケニアの赤十字病院の院長の回顧。本当にアメリカ人が使う単語を日本語に訳したような、しかも医者っぽい格式張った言葉で表現しています。これはすごい才能だと思います。
映画では、航一郎と彼の患者でケニア人の少年のンドゥングの物語でクライマックスを迎えますが、小説の結末はまだずっと先にあります。そう、小説では「あの日」の続きが描かれているのです。
小説でも、映画でも、冒頭は2011年3月、石巻にンドゥングがやってきたところから始まります。彼は震災直後の石巻に、日本を助けるためにやってきたのです。
ここから先の物語は、作者のあとがきなどから察するに、おそらくは一部事実を元にして書かれていると思います。石巻の避難所で、カリスマ的なリーダーとなって被災者を支えた青年たちのドラマです。そこに異邦人とも言えるンドゥングがゲスト出演して、物語に深みを与えています。
小説として美化されている部分ももちろんあると思いますが、これは私が今まで目を背けてきた、そして私たちが知っておかなくてはいけない、被災地の現実です。ただ、さだまさしさんは、つらく、過酷なはずの被災地の現実を、彼らを通して明るく、前向きな現実として描いてくれています。
ここで紡がれる「命のバトン」は、本当に美しく、1987年の最初の風よりもいっそう広く、遠くまで、つながれていくと思います。私もこのバトンを胸に抱いて、これから生きていこうと思います。
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