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映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』鑑賞 〜フィクションはフィクションのままで〜 [小説・本の紹介]

 映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』を観てきました。銃火器を大量に使用したアクション映画に仕上がっていますが、訴えるものは原作と変わっていません。かなり振り切ったフィクションに実写で現実味を持たせて作るのは難しかったと思いますが、上手く表現されていたと思います。

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 物語は前作の続き。主人公の笠原が所属する関東図書隊が、茨城の美術館で開催される表現の自由をテーマにした展覧会で展示される図書を防衛するという任務を受けるといった筋書きです。今作で描かれているのは、命を賭して検閲から本を守りながらも、何も変わらない世の中への無力感や、メディア良化委員会との抗争で人を傷つけていることへの葛藤です。そしてもちろんラブストーリーもあります。


 このテーマは、この物語が根本的に孕んでいる自己矛盾であって、言ってみれば著者が自らその矛盾にツッコミを入れている内容とも言えます。表現の自由を守るために武器を取って戦うことは是か否か、それは正義のために戦争をすることは正しいか、という問題にも似ています。

 現実にこんな事態があり得たとしたら、私は間違いなく支持しないでしょう。たとえ表現の自由を守るためだとしても、武力を行使するという選択肢は私の信念の中にはありません。非暴力的な手段で抵抗するとしたら、検閲されようとしている書店の前でデモをやるとか、スクラムを組んで抵抗するとか、やれるとしてもそこまでです。


 ただ、かつて人類は自由のために戦い、自由を勝ち取ってきた歴史があります。表現の自由もその一つです。検閲というのは、まさに表現の自由を脅かす事態です。検閲を許してしまえば、権力者を批判する言論は消え、思想統制が進み、現行の体制を疑う人間はいなくなります。


 有川浩という作家にとって、それは命を賭して戦う価値のある危機だということなのです。その信念は私には痛いほど分かるし、今の日本においてこの事に警鐘を鳴らすのは、全く的外れではないと思います。


 この間、国会を通過した法案について、有川さんがどうお考えかは知りませんが、私は日本がこの映画をも飛び越えた方向へ進んでしまう気がしてならないのです。


 この現実にはあり得ない突拍子もない物語は、フィクションだからこそ成り立つものであって、私はこの物語が突拍子もないフィクションであり続ける世の中を追求していかなければならない、と切に思うのです。


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