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映画「カメラを止めるな!」は止まらない【完全ネタバレ仕様】 [アート]

 映画「カメラを止めるな!」を鑑賞しました。2回見ました。一度目は8月4日(土)TOHOシネマズ日本橋で。二度目は8月17日(金)新宿K’sシネマで。

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 きっかけは様々ですが、まずTwitterでやたらこのワードが頻繁にツイートされていて、話題になっていたこと。そしてラジオで伊集院光さんが話していたこと。知り合いのネタ職人さんたちが絶賛していたこと。さらにその誰もが一切のネタバレをせず、とにかく見ることを勧めていたこと。そのすべてが私を映画館に誘いました。


 まずはじめに、これから書くことは作品についてのネタバレを含みます。映画「カメラを止めるな!」をまだご覧になっていない方は今すぐこのページを閉じてください。


 見ることを検討している方は、あらゆる情報を遮断して、いますぐに行かれる日の映画のチケットを入手してください。



 評判に違わず、素晴らしい映画でした。あらゆる感情が揺さぶられて、最初に見た時はゾンビ映画としてのスリル感もあり、ドタバタコメディとしての笑いもあり、人間ドラマとしての涙もありで、最高に楽しめました。


 この作品は何重ものメタ構造が働いていて、ファーストカットの37分長回しの場面そのものがゾンビ映画を撮影するクルーがゾンビに襲われるドラマになっています。いわゆる劇中劇の手法ですね。


 話はそこで終わるかと思いきや、ドラマが終わると一ヶ月前に戻って、このドラマを作るスタッフたちの物語が始まるわけです。これもメタ構造ですね。


 ここでクセのある役者と監督との苦悩が始まり、監督の家庭との距離感が見えてきます。監督の人生を中心に置きながら、周囲との関係性を紹介する中でそれぞれの人生を見せて、会話の端々にじわじわと効いてくる伏線ワードを詰め込んでるんですね。これがものすごく巧み。その場面の中で笑えるワードになっていながら、本番シーンでもっと面白くなるような造りになっています。


 書いていると止まらなくなりそうですが、好きなシーンをキーワードでフラッシュバック!

〇謎のおばちゃんプロデューサー、アツアツ連発!

〇全体に絡んでくる「目薬」の存在感!

〇酩酊ゾンビのスプラッシュ攻撃!

〇ちょっと、ちょっと。

〇カメラぐわーんからの「ダサカッケー!」

〇「私は落ち着いてるわよ」からのポンラッシュ!

〇母暴走で現場のピンチに真央ダッシュ!

〇日暮監督「わっかりました。クレーンショットなし!」からそのあと全部!


 一回目に見た時と二回目の時とで違ったのは、まずファーストカットから笑えるという点。そして後半の家族のドラマがもうかなり早い段階から涙出てるっていう点でした。


 父と同じ道に進もうとしている娘が、情けない父の本心を、カッコイイ部分を、一瞬だけ垣間見て、またすぐ諦めたところを目撃する場面。それを見て動き出した娘の熱量に完全に心を掴まれました。


 ものづくりに携わったことのある人は、必ずどこかに共感できる部分がある映画だと思います。成功の裏にある失敗、ハプニング、現場合わせ、そういった上手くいかなかったことを笑えるエピソードに落とし込んでいて、見た人が「オレもあのときこんなことがあってさ」「こんな失敗しちゃったんだよ」と思い出して語り出したくなる魅力があると思うんです。


 その意味でも、言及しなきゃいけないのはエンドロールで流れる映像です。実際にワンカットの長回しをしていたカメラを追ったメイキングが流れるんですが、まさに戦場。ひと目ではわからないハプニングも、あの場面か!とわかるハプニングも起きていて、現場のハラハラ感が改めて映し出されます。これもメタ構造のひとつ。そしてこの映像が流れて映画が終わると…。


 この映画の特徴は、公開後にSNSで感想が流れて、どんどん拡散されてムーブメントに発展しているところ。それには出演者の皆さんが精力的に上映後舞台挨拶を開催していることが大きいんじゃないかと思います。これが最後のメタ構造。


 映画が終わった後に、「カメラを止めるな!」クルーたちの物語が、もう、まさに、目の前で始まっているということです。


 私はそれを体験したくて、8月17日(金)に新宿K’sシネマに行きました。


 上映後に舞台挨拶に現れたのは、助監督役市原洋さん、真央役真魚さん、プロデューサー役竹原芳子さん、リアルっすね役曽我真臣さんの4名。しっかりグッズの宣伝をされていました(笑)


 舞台挨拶後のプチサイン会&写真撮影会にも皆さん出てこられて、彼らにとっては毎回やってるから当たり前なのかもしれませんが、応対がとにかく丁寧で真摯で実直。大変なことだと思うんですが、自分たちでもっともっと盛り上げて行くんだという気概を感じました。

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 この目の前で起こっていることが、この映画のネクストステージ、出演者たちの今後の物語、そして映画を見た我々の物語になっていくんだと思います。


 ミーハーなことを書きますと、日暮真央役の真魚さんのファンになりました。舞台挨拶の折に少しお話しさせて頂きましたが、すべてのお客様に自分から話しに行って、サインして、写真も撮って、握手もしていらっしゃって。それもお客さんが列作ってるところに待ってるんじゃなくて自分が前に出てっちゃって列を食ってるっていう(笑)


 自分の立ち位置と役割をわかってこの現象に“出演”しているんだなと、それだけでも感動しました。それが素だって言われたらもっと好きになりますけどね。

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 上田慎一郎監督、そして出演された皆さんの今後には注目していきたいと思います。あと、日本映画をもっと勉強しようかなと思いました。


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サンフランシスコ人

『カメラを止めるな!』.....2018年12月15日にサンフランシスコの日本町の映画館で上映...

http://www.newpeopleworld.com/schedule/2018/12/15/one-cut-of-the-dead
by サンフランシスコ人 (2018-10-19 06:20) 

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