南国紀行 沖縄ひとり旅 その八〜最終日は糸満の試練〜

　今年最後の更新は、真夏の沖縄旅行の最終日の話となりました。こんな時間の更新なので、ご覧になる方はもう2020年を生きてらっしゃるかもしれませんね。すぐに書けばいいものを私が怠けすぎたせいでここまで来ちゃいました。とにかく、この記事が2019年のうちにアップされていることを願います。


　さて、南国の夜で2回目の夜を過ごしたとき、特に3日目の予定は決まっていませんでした。私は集まっていた南国リスナーさんたちに、どこかオススメの場所はあるかと訊いてみました。


　すると、糸満の先の方に南浜公園というきれいな砂浜のある海岸があって、その近くにおさかなセンターなるものがあることがわかりました。その場でGoogleマップで検索し、だいたいの経路もわかったので最終日に行くことにしました。


　宜野湾市伊佐のホテルから、那覇を経由して糸満へ、約1時間半のバス旅。のどかな風景の中、バスに乗っているのは私ひとり。観光客がメインで使うのはやっぱりレンタカーで、糸満に行くようなバスは生活の足なのでしょう。


　バスを降りて少し歩き、いざ南浜公園にたどり着くと、水平線を見晴るかす素敵な景色が広がっていました。

　しかし、ゆったりと海を眺めていたのも束の間、それまで晴れていた空が急に曇りだしました。ポツポツポツ…と来たかと思うと、ザーーーーーッ…と、瞬く間に滝のような雨が打ち付けてきました。

　スコール！


　大粒の雨が視界をさえぎるように降っています。急いで傘を差しましたが、それも用を成さないほどの降り方で、すぐに全身がずぶ濡れになってしまいました。私はひとまず雨宿りをして、次の目的地、お魚センターまでの道のりを確認しました。


　ここで問題が。


　沖縄のみなさんは車移動が大前提なのを忘れていました。すぐ近くと言って紹介されたファーマーズマーケットまでは、歩いたら40分以上もあったのです。ここでいろんな事を考えました。


　雨の中歩く？止むまで待つ？タクシーとか通る？とりあえずバス停まで歩く？バス停どこ？飛行機まではまだ時間あるだろ。いや、でもバス停にたどり着けるの？オレずぶ濡れの状態で飛行機乗るの？


　雨宿りする私。いつ止むかもわからない雨。1時間に1本しかないバス。


　あれ？もしかしてオレ、東京帰れない？


　落ち着け、歩き出せば必ず帰れる。とにかくバスに乗ることができれば那覇までは行ける。土砂降りの中、私は気持ちをしっかり持って、踏み出しました。


　ずぶ濡れになりながら、泣きそうになりながら、沖縄まで来た私は何をやっているんだろう、オレは本当にどうかしてるな、と考えました。


　そうです。私はこの極限状態で、伊集院光の境地の端っこを垣間見たのです。どうかしてなきゃたどり着かない境地に片足を踏み入れることができたのです。…たぶん、歩きながら意識が飛んでいたんだと思います。


　Googleマップを駆使しながらバス停を見つけて、なんとか自力でお魚センターまでたどり着きました。

　立派な建物が見えた時は本当に安堵しました。

　おさかなセンターはたくさんの家族連れで賑わっていました。大変な思いをした後だったのもあって、お魚センターで食べたお寿司の味は格別でした。

　そのあとも那覇へ向かうバスの時間が迫っていたので、ゆっくりする間もなくお魚センターをあとにしました。


　その頃には雨も止んでいましたが、私がずぶ濡れなのは変わりません。このままでは本当にずぶ濡れで空港を歩いて、ずぶ濡れで飛行機に乗らなくてはいけません。


　あのときコインランドリーを使っておいて本当によかった！ これを予想していたわけではありませんでしたが、初日に汗をかきすぎて、着替えが足りなくなると思っていた私は、二日目の朝にホテルに備え付けのコインランドリーを使って洗濯をしていたんです。


　これでなんとかずぶ濡れで飛行機を乗ることは避けられました。でも、靴だけはスペアがなかったんで、足だけは東京までぐっしょりの状態でした。いま思えば空港でおみやげ用のクロックスでも買えばよかったかな。

　疲れ果てた空港で食べたラ・クンチーナさんのフルーツサンドは最高でした。


　最終日にこんな失敗もありつつ、今回の沖縄の旅は最高に楽しかったです。この夏の経験を私は生涯忘れることはないでしょう。何も予定がない9連休に、いくらかかってもいいから沖縄に行こうと決心した気持ちを忘れなければ、なんでもやれるような気がします。


　結果的にこの沖縄旅行が私の2019年のハイライトだったので、これが年内最後の記事になって良かったと思います。来年も気ままに更新を続けますので、引き続きごひいきに。

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