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映画『劇場』を観てきました [アート]

 映画『劇場』を観てきました。又吉直樹原作の小説の映画化。山崎健人と松岡茉優が主演。渋谷ユーロスペースの公開最終日でした。こんなタイミングでレビューするのもなんですが、簡単に感想など書きます。

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 原作は読んでいません。もともとそれほど興味はなかったのですが、松岡茉優さんのラジオ(TBSラジオ「松岡茉優 マチネの前に」)を聴いていて、そこで行定勲監督との対談を聴いた時に興味を持ちました。


 このラジオの素晴らしさについては別の所で詳しく語りたいのですが(誰かと飲みながら語りたい)、松岡茉優という女優が気になっていて、ちゃんとこの人の芝居を観ておきたいと思いました。


 物語はいかにも純文学的な内容で、青春・純愛ストーリーというのでしょうか。夢を追うダメな男とそれを信じて見守る女の話。劇作家として売れないまま時間ばかりが過ぎていく中で、男と女の関係は少しずつ変化していき、徐々にすれ違っていく…。


 男の感情は独白で細かく描写しながら、女性の方は演技だけで見せるという、男性一人称の視点での撮り方でした。夢を追う男の感覚、努力してないけど天才ぶりたい感じだったり、成果が出ないけど定職に就かない感じだったり、典型的なんだけど少し共感できてしまうところはあって、自分はたまたま就職したけど、そうなる可能性もあったのかなって思わされる描写がたびたびありました。


 どうしてもわからないのは、地方から出てきて「東京に押しつぶされる」みたいな感覚です。私は実家が東京で、親元を離れたことがないのですが、芸術関係の分野で一旗揚げたいと意識して東京に出てきて、何もできずに歳だけを取っていくことの切迫感というのはどんな感覚なんだろうと考えます。


 逆に言えば私は東京以外に逃げ場がないのですが、失敗したと気付くこともないまま、何もできずに終わっていくのかな、とも思ってしまいます。


 松岡茉優さんの演技は良かったですね。難しい役だったと思います。男には天真爛漫に振る舞っているように見せながら、実はしっかりしていて、男を食わせながらバイトを掛け持ちして生活をしているという、なかなか感情の置き場所がわかりづらい役でした。見事に演じていたと思います。


 物語のラストシーンは実に映画的で、演劇的な演出で素晴らしかったです。あのシーンを観られただけでも価値があったと思います。


 Amazonプライムビデオではまだ観られるかと思いますので、興味を持った方は是非ご覧ください。

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