スワローズ交流戦優勝!2022〜鉄壁のリリーフ陣〜 [スワローズ]
ヤクルトが、強すぎる…。ちょっとこんなに強いスワローズを見たことがなくて、ここのところ、どんな感情になっていいかわからない日々を過ごしています。簡単に言うと、幸福すぎて発狂しそうです。
本日、2022年6月11日。東京ヤクルトスワローズが日本生命セパ交流戦2022の優勝を決めました。明日の1試合を残して、パ・リーグの全球団から勝ち越す、いわゆる完全優勝となりました。スワローズに、いったい何が起こっているのでしょうか。
○投手陣への信頼
すべての選手が自分の役割をしっかりこなしているという前提の上で、期待以上の成績を挙げているのが投手陣、特にリリーフ陣です。高津監督の言葉にもありましたが「リリーフみんながよくやってくれた」交流戦の優勝でした。はっきり言って、リリーフ全員が異常な成績です。
一軍リリーフ投手陣の防御率を挙げると、
木澤 登板20 防御率1.88
コール登板17 防御率2.45
大西 登板20 防御率2.16
梅野 登板15 防御率0.64
石山 登板21 防御率2.21
田口 登板21 防御率0.00
清水 登板18 防御率1.59
今野 登板20 防御率0.50
マクガフ登板25 防御率0.72
※6月10日時点
防御率2点台がズラリ。誰が投げても打たれない、という印象を持てる状況です。ここまで10試合を戦った6月に至っては、中継ぎ防御率0.00。一人も、一度も、失点をしていません。数字以上に興味深いのは、勝ちパターンで投げられる選手を、試合を通じて育成してきた点です。開幕当初、来日当初はビハインド起用だった木澤やコールを、今では勝っている場面でも使っています。もちろん選手たちが期待に応えた結果ですが、実際に信頼して起用法を変えるのも勇気がいるはずです。
そして、いわゆる「勝利の方程式」にこだわりすぎないのもスワローズのすごいところです。ファンとしては昨年の成功体験から、7,8,9回は、今野、清水、マクガフ、と考えてしまうんですが、前日までの登板状況を考えて、この日は誰と誰を投げさせない、という日を作っているんです。
こうすることで、(おそらくですが)リリーフ投手が肩を作らない日が生まれるわけです。中継ぎは実際に登板することがなくても、いつ来るかわからない出番のためにほぼ毎試合肩を作るというのが通例です。それを、試合前から全員に、今日は木澤と今野を投げさせない、と宣言することで、完全休養日を作り、他の選手たちの気持ちも作ることができます。
でも勝ちパターンとして計算している選手を投げさせないという決断はなかなかできるものではありませんし、誰が投げても抑えてくれるという信頼感がなければできないことです。逆に言えば、その信頼を選手に伝えていることでもあります。これは「負けてる時しか投げられない」というモチベーションよりも「勝ちにつながる投球を期待されている」と選手が強く感じるんじゃないかと思います。
ここまで訳知り顔で投手起用について語っていますが、ニュースソースはすべて高津監督の試合後のコメントでして、試合中は多くのスワローズファンが頭にハテナを浮かべたはずです。Twitterを見ると「またしてもスワローズファンは高津に負けた」などのコメントがあり、ファンが疑念を抱く采配を結果で超えてくるという不思議な関係が続いています。
印象的だった試合を2つ挙げます。
○連夜のサヨナラ勝ちを飾った5月25日(水)の日本ハム戦。
この日、たまたま私は現地で観戦していました。凄まじい試合で、前日の村上のサヨナラホームランの余韻を引きずるミラクルゲームでしたが、投手起用に疑問を抱いていました。2-0でビハインドの6回から坂本2イニング、7回裏に逆転して3-3となり、大西。8回表に勝ち越され、8回裏に同点。そして9回は大西が続投。
ん?大西続投?
8回も苦しい投球に見えた大西を続投させ、結果2点を取られて万事休す。かと思いきや、9回裏に山崎の逆転サヨナラとなりました6-7x。結果オーライだけどあの采配はなに?と思ったファンも多かったはず。ですが、試合後の高津監督のコメントでは「今日はこの継投という予定通りの継投で、終盤ボコボコと点を取られて」。
ここからは想像ですが。前日も延長11回のゲームで7人の投手をつぎ込み、交流戦開始2戦目でここから6連戦が続くという状況でした。できる限り連投は避けたいという思いもあったでしょう。だから、今日はある程度、どんな試合展開になっても坂本と大西に踏ん張ってもらうという計算があって、おそらく本人たちにもそれを伝えていたんだと思います。そうでなければ大西の2イニング目はあり得ないし、勝ち越されても代えなかった意味がわかりません。
○石川投手180勝目となった6月9日(木)のオリックス戦。
この日は2回に下位打線から出た2得点を終盤まで守り切った2-1の1点差ゲーム。石川が5回1失点でマウンドを譲った後は、木澤1イニング、石山2/3-田口1/3、コール1イニングとつないで、今野がセーブ。木澤の6回はまあわかるとして、8回にコールが出てきたのは驚きました。そして9回の今野。
どう考えても8回今野or清水で9回マクガフだろう?と思ってしまうのですが、この日も高津監督から種明かし。「今日は清水とスコット(マクガフ)を使わないでおこうと試合前にピッチングコーチと決めたので、すごく難しかったですね。(中略)今日投げたピッチャーだって十分に最後まで投げきれるメンバーだと証明してくれたので、それはそれでよかったゲームだったと思います」
もうやられたーっですよ。尊敬しかない。選手を信じて、選手がそれに応える。使いながら育てて、勝つ。まあファンとしては、石川の勝ちがかかった1点差ゲームでそれをやるなよ、とは思うのですが(笑) だからこそ緊張感があって、より成長するんでしょうね。
そして次の日(小川-清水-マクガフで勝利)も「昨日の中継ぎのメンバーで勝て、今日は昨日休ませた二人で勝てたというのは、昨日の勝ちが浮き彫りになるというか、強調される」とコメントしていて、まさに全員を信頼して勝ち続けているというのがわかってきます。
○粘って繋ぐ打撃陣
打線については、チーム打率.240はリーグ5位で、状態がいいとは言えません。ですが得点234はリーグ2位タイ。少ないチャンスをものにして得点していると言える内容です。最近は日替わり打線で、4番村上以外はかなり激しく入れ替わっています。その中で下位を打つ長岡の打点25が光っていると私は思います。村上に助けられた試合はたくさんあって、印象も強いんですが、内山や長岡などの若い選手(村上だって十分若い)が日替わりでヒーローになっているのも、未来を見据えた育成を試合の中で進める高津監督の手腕じゃないかな、と感じています。
さて、私たちファンは浮かれていますが、指揮官高津監督は「まだシーズンは半分も行っていない、これから苦しい時期が来る」と冷静なコメントを残しています。苦しい時期が来た時に、投手陣が最高のパフォーマンスが出せるように、打線が爆発できるように、高津監督の堅実で大胆な采配を、期待と興奮とともに楽しんでいきたいと思います。
本日、2022年6月11日。東京ヤクルトスワローズが日本生命セパ交流戦2022の優勝を決めました。明日の1試合を残して、パ・リーグの全球団から勝ち越す、いわゆる完全優勝となりました。スワローズに、いったい何が起こっているのでしょうか。
○投手陣への信頼
すべての選手が自分の役割をしっかりこなしているという前提の上で、期待以上の成績を挙げているのが投手陣、特にリリーフ陣です。高津監督の言葉にもありましたが「リリーフみんながよくやってくれた」交流戦の優勝でした。はっきり言って、リリーフ全員が異常な成績です。
一軍リリーフ投手陣の防御率を挙げると、
木澤 登板20 防御率1.88
コール登板17 防御率2.45
大西 登板20 防御率2.16
梅野 登板15 防御率0.64
石山 登板21 防御率2.21
田口 登板21 防御率0.00
清水 登板18 防御率1.59
今野 登板20 防御率0.50
マクガフ登板25 防御率0.72
※6月10日時点
防御率2点台がズラリ。誰が投げても打たれない、という印象を持てる状況です。ここまで10試合を戦った6月に至っては、中継ぎ防御率0.00。一人も、一度も、失点をしていません。数字以上に興味深いのは、勝ちパターンで投げられる選手を、試合を通じて育成してきた点です。開幕当初、来日当初はビハインド起用だった木澤やコールを、今では勝っている場面でも使っています。もちろん選手たちが期待に応えた結果ですが、実際に信頼して起用法を変えるのも勇気がいるはずです。
そして、いわゆる「勝利の方程式」にこだわりすぎないのもスワローズのすごいところです。ファンとしては昨年の成功体験から、7,8,9回は、今野、清水、マクガフ、と考えてしまうんですが、前日までの登板状況を考えて、この日は誰と誰を投げさせない、という日を作っているんです。
こうすることで、(おそらくですが)リリーフ投手が肩を作らない日が生まれるわけです。中継ぎは実際に登板することがなくても、いつ来るかわからない出番のためにほぼ毎試合肩を作るというのが通例です。それを、試合前から全員に、今日は木澤と今野を投げさせない、と宣言することで、完全休養日を作り、他の選手たちの気持ちも作ることができます。
でも勝ちパターンとして計算している選手を投げさせないという決断はなかなかできるものではありませんし、誰が投げても抑えてくれるという信頼感がなければできないことです。逆に言えば、その信頼を選手に伝えていることでもあります。これは「負けてる時しか投げられない」というモチベーションよりも「勝ちにつながる投球を期待されている」と選手が強く感じるんじゃないかと思います。
ここまで訳知り顔で投手起用について語っていますが、ニュースソースはすべて高津監督の試合後のコメントでして、試合中は多くのスワローズファンが頭にハテナを浮かべたはずです。Twitterを見ると「またしてもスワローズファンは高津に負けた」などのコメントがあり、ファンが疑念を抱く采配を結果で超えてくるという不思議な関係が続いています。
印象的だった試合を2つ挙げます。
○連夜のサヨナラ勝ちを飾った5月25日(水)の日本ハム戦。
この日、たまたま私は現地で観戦していました。凄まじい試合で、前日の村上のサヨナラホームランの余韻を引きずるミラクルゲームでしたが、投手起用に疑問を抱いていました。2-0でビハインドの6回から坂本2イニング、7回裏に逆転して3-3となり、大西。8回表に勝ち越され、8回裏に同点。そして9回は大西が続投。
ん?大西続投?
8回も苦しい投球に見えた大西を続投させ、結果2点を取られて万事休す。かと思いきや、9回裏に山崎の逆転サヨナラとなりました6-7x。結果オーライだけどあの采配はなに?と思ったファンも多かったはず。ですが、試合後の高津監督のコメントでは「今日はこの継投という予定通りの継投で、終盤ボコボコと点を取られて」。
ここからは想像ですが。前日も延長11回のゲームで7人の投手をつぎ込み、交流戦開始2戦目でここから6連戦が続くという状況でした。できる限り連投は避けたいという思いもあったでしょう。だから、今日はある程度、どんな試合展開になっても坂本と大西に踏ん張ってもらうという計算があって、おそらく本人たちにもそれを伝えていたんだと思います。そうでなければ大西の2イニング目はあり得ないし、勝ち越されても代えなかった意味がわかりません。
○石川投手180勝目となった6月9日(木)のオリックス戦。
この日は2回に下位打線から出た2得点を終盤まで守り切った2-1の1点差ゲーム。石川が5回1失点でマウンドを譲った後は、木澤1イニング、石山2/3-田口1/3、コール1イニングとつないで、今野がセーブ。木澤の6回はまあわかるとして、8回にコールが出てきたのは驚きました。そして9回の今野。
どう考えても8回今野or清水で9回マクガフだろう?と思ってしまうのですが、この日も高津監督から種明かし。「今日は清水とスコット(マクガフ)を使わないでおこうと試合前にピッチングコーチと決めたので、すごく難しかったですね。(中略)今日投げたピッチャーだって十分に最後まで投げきれるメンバーだと証明してくれたので、それはそれでよかったゲームだったと思います」
もうやられたーっですよ。尊敬しかない。選手を信じて、選手がそれに応える。使いながら育てて、勝つ。まあファンとしては、石川の勝ちがかかった1点差ゲームでそれをやるなよ、とは思うのですが(笑) だからこそ緊張感があって、より成長するんでしょうね。
そして次の日(小川-清水-マクガフで勝利)も「昨日の中継ぎのメンバーで勝て、今日は昨日休ませた二人で勝てたというのは、昨日の勝ちが浮き彫りになるというか、強調される」とコメントしていて、まさに全員を信頼して勝ち続けているというのがわかってきます。
○粘って繋ぐ打撃陣
打線については、チーム打率.240はリーグ5位で、状態がいいとは言えません。ですが得点234はリーグ2位タイ。少ないチャンスをものにして得点していると言える内容です。最近は日替わり打線で、4番村上以外はかなり激しく入れ替わっています。その中で下位を打つ長岡の打点25が光っていると私は思います。村上に助けられた試合はたくさんあって、印象も強いんですが、内山や長岡などの若い選手(村上だって十分若い)が日替わりでヒーローになっているのも、未来を見据えた育成を試合の中で進める高津監督の手腕じゃないかな、と感じています。
さて、私たちファンは浮かれていますが、指揮官高津監督は「まだシーズンは半分も行っていない、これから苦しい時期が来る」と冷静なコメントを残しています。苦しい時期が来た時に、投手陣が最高のパフォーマンスが出せるように、打線が爆発できるように、高津監督の堅実で大胆な采配を、期待と興奮とともに楽しんでいきたいと思います。
コメント 0