『イエスはなぜわがままなのか』〜ブックレビュー〜 [霊界・神話・伝説]
いかにも挑発的なタイトルの本で、思わず手に取ってしまいました(笑)
タイトルや見出しではかなり煽(あお)っていますが、中身はいたってマジメ。日本人クリスチャンである著者が、信仰する過程で持った疑問を真摯に考えて解き明かしていった体験談のような内容です。
第一章の見出しを一部挙げると…
・空腹のあまり、イチジクの木を呪って枯らす
・動物を鞭でたたき出し、市場をめちゃくちゃにする
・弟子に「おまえなんか生まれてこなければよかった」
最初はちょっと俗っぽいのかなと思って読み始めたのですが、キリスト教に少し触れると誰もが抱く疑問や聖書の中の不可解な記述などがかみ砕いて解説されているので、キリスト教をちょっと苦手に感じている人や、詳しく知りたいけど出だしでつまずいている人なんかが読むと、キリスト教をずっと身近に感じられるようになるんじゃないでしょうか。
特にわかりやすかったのは、「真実は事実ではない」という箇所。ここで説明するのは難しいのですが、要は「神による創造」や「イエスの復活」に代表される聖書の非科学的な記述は、科学的な根拠のある「事実」ではないけれども、その話を見たり聞いたりした人々にとっては圧倒的なリアリティを持った「真実」なのだ、ということです。これは理解するのが難しいことですが、文中ではたとえを用いてわかりやすく説明しています。
また、前半はセンセーショナルな見出しを使っていますが、後半になると著者本人がキリスト教に出会ってキリスト教を「信仰」しながら生きてきた体験記がつづられています。日本人にとってなじみの少ない「信仰」についての、自身の体験から出た考えは、説得力があって妙に納得してしまいました。そこには「信仰は特別なことじゃない」「キリスト教徒だって普通の人間なんだ」という実感があるように感じました。
「キリスト教って堅苦しい」とか「聖書ってウソなんでしょ」と思っている人はぜひ読んでみてください。一人の日本人クリスチャンの信仰体験記が読めるというだけでも、読む価値はあると思います。
アヨアン・イゴガーさん、niceありがとうございます。
by イソップ (2009-05-04 20:01)