SSブログ

小説『インフェルノ』(ダン・ブラウン)感想〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]

 ダン・ブラウンのロバート・ラングドンシリーズ第4弾、小説『インフェルノ』を読みました。スマホの襲来で本を読む時間が減っている私ですが、文庫版が出たので衝動買いして読みました。読んでみると一気に引き込まれて、上中下3巻を読み切ってしまいました。


インフェルノ(上) (角川文庫)

インフェルノ(上) (角川文庫)

  • 作者: ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア: 文庫



 今回もジェットコースターストーリー。歴史的な書物を巡る謎解きであり、世界の観光スポットを巡る旅行記であり、現代の社会問題を巡る問題提起小説でもある、非常によく練られた物語です。


 ネタバレでない書き方をするのが難しいのですが、今回はダンテの『神曲』、とりわけその中の「地獄篇」が主要テーマになります。そしてフィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールの観光名所を巡ります。さらに世界の人口過剰が問題となります。


 ・・・大変幼稚な書き方になってしまいました。


 改めて。我らがロバート・ラングドンが、フィレンツェにある病院で目覚めるところから今作は始まります。彼はここ二日間の記憶がなく、自分がなぜフィレンツェにいるのかも分からない。しかも頭に弾丸がかすめた痕があり、何らかの事件に巻き込まれたショックで記憶を失った恐れがあるーー。


 と、そこへ銃をぶっ放しながら押し入るスパイクヘアの殺人鬼、逃げるラングドンと担当医、手がかりはなぜか手にしていた小型プロジェクターから映し出される一枚の絵、ボッティチェルリの「地獄の見取り図」。追っ手から逃げるため、記憶を取り戻すため、ラングドン教授の謎解きと冒険が始まります。


 以下、ネタバレあります


 ラングドンシリーズを読むと、ヨーロッパに行きたくなります。出てきた名所それぞれにうんちくが語られるので、実際に行って見てみたいという気持ちが出てきます。大学時代に行った過去2回のヨーロッパ旅行でも、過去作『ダ・ヴィンチ・コード』や『天使と悪魔』で出てきた名所のいくつかに行きましたし、そこではまた違った感動を覚えました。逆に今作で登場するヴェネツィアにも行っていたので、情景を想像するのに助かりました。


 さて、上に書いた冒頭部分(記憶喪失の部分)は、後半の重要な伏線になっていて、完全に裏切られるのですが、この裏切られ方は“やられた!”と思う反面、“ん?それってどうなの?”と思うところもありました。そもそも記憶喪失で失った時間をもう一回やり直して、もう一度謎解きをするという流れに、私は居心地の悪さを感じてしまいました。


 色々な勢力の思惑が絡まっている感も、伏線が回収されてからは強引に納得せざるを得ないのですが、思い返すと「それアンジャッシュかよ!」みたいな叙述トリックが行われていて、単純に騙されたという印象の方が強くなってしまいます。


 そういったツッコミは脇に置くとすれば、全体的にはとても綿密な取材を重ねていることがわかりますし、物語のスピード感と展開の面白さは素晴らしいの一言です。もっと言えばハリウッド向きだな、の一言です。


 扱われている人口爆発の問題は現実の重要な課題として、この物語を通じて世界に提起されれば、一般に広く知られるところになるでしょう。胸躍るエンターテインメントでありながら、勉強にもなる、今更ではありますが、是非ご一読を。


ブログランキング参加中↓をクリック♪
blogram投票ボタン
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ

nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 1

本が好き!運営担当

突然のコメント、失礼いたします。
書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」を運営しております、和氣と申します。

今回レビューを拝読し、ぜひ本が好き!にもレビューを投稿していただきたいと思いコメントいたしました。
(無料会員制サイトです)

弊サイトにはその名の通り、本好きが多く投稿しており、交流することで今までにない本と出会えます。

ご自身のサイトと併用で利用されている方も多いです。
(弊サイトの書評掲載画面に、貴ブログへのリンクを貼ることができます。)

本が好き!では、書評(レビュー)をサイトに投稿していただくと本がもらえる、献本サービスを行なっております。

よろしければ一度サイトをご覧いただけますと幸いです。

不明な点などありましたらお気軽にご連絡ください。

どうぞよろしくお願いいたします。
by 本が好き!運営担当 (2016-11-04 10:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。