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中世のトーナメント [中世ヨーロッパ・騎士物語]

トーナメントと聞くと、今では勝ち抜き戦を思い浮かべる人が多いと思いますが、その元となった中世ヨーロッパのトーナメントは今とはだいぶ趣が違うものだったんです。

中世のトーナメントは城や町などで開かれる模擬戦闘の総称で、戦争のない時期に騎士が腕を磨く訓練の場であり、また無名の騎士が武功を立て、自分をアピールする絶好の機会だったのです。

トーナメントが始まってしばらくは非常に実践に近く、多くの死傷者が出る危険な競技でした。そのため教会は人道的立場から、王や諸侯は優れた戦士が失われる危険性から禁止を呼びかけることも多かったそうです。時代が下るにしたがって、ルールが整備され、使用される道具も負傷する危険が少ない安全なものが作られるようになりました。

トーナメントには1対1の個人戦と大勢で行う団体戦の二つの試合形式があります。今日は個人戦について紹介しましょう。

【馬上槍試合】
1対1で行われる競技は馬上槍試合(チョスト/tjost)と呼ばれるもので、決闘と似た形式で行われます。

甲冑に身を包み盾と槍を持った2人の騎士が騎乗し、相手に向かって突進します。必ず右手で槍を持ち、馬の左側で敵の馬とすれ違うことが定められていました。槍で相手の盾の中央を突き、うまくいけばどちらかが落馬します。その後は馬から降り剣を交え、どちらかが降伏するまで闘います。

☆『武器屋』新紀元社より

最初の衝突で槍が砕けてしまうこともあり、その場合は新しい槍に持ち替えて再び突進したそうです。時代が経つと槍を砕くことが試合の主眼となったり、正面衝突を避けるために両者の間、馬と平行に柵(チルト・バリア)を設けることがあったりとルールも様々だったようです。

この形式の戦いはアーサー王物語などの騎士物語でもよく見られます。それにしても、血気盛んで命知らずに思えるこの時代の騎士たちもやはり命は惜しいものなんですね。


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コメント 4

yoku

トーナメントには、そのような歴史があったのですか。
知りませんでした。以外と現代スポーツと関係がある
のですね。
by yoku (2006-05-10 05:41) 

イソップ

私も初めて知った時は意外でした。このトーナメント自体、危険性が薄れて「スポーツ化」していったのかもしれませんね。
by イソップ (2006-05-10 21:52) 

kimuko

馬上槍試合は、『ロック・ユー』という映画でふんだんに見れますよ。かなりなギャグ映画で、「歴史を勉強しよう」と思ってみるとトンデモになってしまいますが。あれを観ると、当たり所が悪かったら死ぬな、と思わせるスポーツでした。
by kimuko (2006-05-17 21:17) 

イソップ

まだ映像で見たことがないので、興味がありますね。騎士関係の事って意外と風刺されることが多いですよね。結構ギャグ系好きなので見てみたいと思います。
by イソップ (2006-05-18 22:25) 

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