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ランスとスピアー~槍のいろいろ1~ [中世ヨーロッパ・騎士物語]

尖った穂先を持ち、突き刺して使う長柄の武器を槍といいます。それ自体はもっとも古くから使われている武器の一つでしょう。ですが、その用途や穂先の形は時代や戦略の違いによって実に様々です。

英語で槍というとスピアーと言ったりランスと言ったりして、これってどう違うんだろう、と思ったことがある人もいると思います。私もその一人です。
一般に歩兵が使う槍をスピアー、騎兵が使う槍をランス【騎槍】と呼ぶそうです。以前紹介したグングニルの槍は投槍ですね。

☆馬上槍試合で使われたのもランス。

もっとも扱いやすいスピアーはショート・スピアー【手槍】と呼ばれるもので、剣ほど技術もいらず、刺突や投擲に向いています。しかし、歩兵の槍は戦術によって様々な形に分化します。これについてはまたの機会に…(ごめんなさい!)。

ランス【騎槍】による戦闘は騎乗突撃戦法と呼ばれ、ノルマン人が開発したと言われます。それまでは槍を逆手に持って肩の上に掲げ、それを振り下ろして突いていたのですが、これでは馬の勢いがあまり反映されませんでした。ノルマン人は槍を脇に抱えて馬を走らせ、槍をしっかり固定させて相手に突き刺しました。馬のスピードがそのまま相手に伝わり破壊力は倍増しました。この発明によって中世の戦争での騎士の優位が確立されたとも言われています。

基本的な武器でも工夫ひとつで革新的な威力を発揮することもあるんですね。

今日のタネ本。

武器甲冑図鑑

武器甲冑図鑑

  • 作者: 有田 満弘, 福地 貴子, 諏訪原 寛幸, 市川 定春
  • 出版社/メーカー: 新紀元社
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 単行本


武器屋

武器屋

  • 作者: Truth In Fantasy編集部
  • 出版社/メーカー: 新紀元社
  • 発売日: 1992/01
  • メディア: 単行本


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勇者カカキキ

私も、自作の小説内で槍を使うキャラを出す為、出来る限りいろいろな書籍とか回ってみたら、とても奥が深いですねぇ。
実際の槍術に関する、具体的な部分が分からない部分があったりして、事実槍を扱う技術はどんな物があるんだろう・・・と日々勉強しておりまする。

時、薙刀の如く薙ぎ払い、時にエペやフルーレの如く鋭い突きを放ち、時に棒や棍の如く殴る……資料を読むたびに槍の凄さや深みが増していくばかり。
私の一番好きな武器は剣(特に日本刀)ですが、その次に槍でとても好きな武器の一つです。
また機能的に超近距離には不利ですが、攻守共にバランスの取れた上に美しい形状をしている素晴らしい武器だと思っております。

長文コメント失礼致しました。
by 勇者カカキキ (2006-06-19 04:12) 

イソップ

勇者カカキキ様、はじめまして。
武器に関しては、調べてみるといろいろなことが分かりますね。非常に興味深いです。
自作小説ですか、私も書きたいと思っているのですが、時間と気持ちがなかなか取れませんで…。
by イソップ (2006-06-19 22:26) 

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