中日ドラゴンズ日本一に寄せて [野球全般]
中日ドラゴンズ、半世紀以上ぶりの日本一おめでとうございます。最初から最後まで、「勝ち」にこだわったプロフェッショナルな野球を見せてくれたと思います。
さて、私は正直に言って、ここ数年のドラゴンズの野球はあまり好きではありませんでした。ルールの穴をかいくぐっても、勝つためなら何でもする落合監督の姿勢は、間違いなくプロとして正しい姿勢だと思います。シーズンに対して何の得にもならない、オールスター戦や日本代表戦への協力は極力しない。相手を威嚇するためなら暴力すら是とする。認められているルールはギリギリまで活用する。それは落合政権を通して貫かれた姿勢だと思います。
ですが、私にはファンを楽しませるプロとして、それでいいのかという思いがあるんです。それは勝つことを第一義とするスポーツを観る見方として間違っているかもしれないのですが、スワローズファンの私としては、どうしてもそこにファンサービスだったり、道徳心だったりというものを求めたいんです。結果的にMVPに輝いた中村紀洋選手(すばらしい!)を“育成選手”として獲ったことに対してもこの制度の設立の趣旨から考えて、疑問は捨てきれません。
ただ、だからこそ今回問題視されている“非情采配”に関しては、私はドラゴンズらしい、素晴らしい采配だったと思います。一年間貫いてきた落合采配の総決算として、最も確率が高く、最も自然な継投があそこで為されたのです。後日談として、山井投手のマメのことや、山井投手自身が降板の意を告げたこともわかっていますが、それを抜きにしても批判されるような決断ではないと思います。結果として、岩瀬投手が三人で抑え、完全試合は達成されたのですから。
これについても、山井投手が8回で降板したことで完全試合の価値が失われるかと言えば、私はそうではないと考えています。むしろ、岩瀬投手とのリレーで達成したことで、山井投手個人の記録から、一年間戦ってきたチーム全体での記録へと昇華したと考えられるのではないかと思うんです。“非情”に徹した名将の最後のプレゼント、そんな見方も面白いんじゃないでしょうか。
改めて、日本一&完全試合達成おめでとうございます。
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