『神の守り人』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
「守り人」シリーズの第5弾、『神の守り人』(来訪編、帰還編)をご紹介します。毎回思うのですが、私の小説レビューはあまりいい記事にはなりませんので、悪しからず…(笑)
シリーズ初の上下巻でしたが、それほど重たいとは感じませんでした。むしろ今回は場面がダイナミックに動くので、スピーディな印象を覚えました。
今作では民族間の差別問題や同国内での地域間格差の問題、それらの軋轢から来る憎悪やねたみといった、現代の社会問題とも共通するテーマが多く盛り込まれていました。そうした中での中心テーマは「命の尊厳」。
そしてこのテーマを、この本の中心的な読者層と同年代の少女アスラの苦悩と成長の物語に託したところに、今作のすごさがあると言えるでしょう。まさにこの一点に、「なぜ人を殺してはいけないのか」という大問題の答えを現代の子どもたちに伝えたい、という作者の想いが込められていると思います。
以下、多少のネタバレあり
今回の作品は、少女アスラが異世界(ナユグ)の世界の存在を自分の身に宿すことで、神のごとき強大な力(武力という意味での)を手に入れてしまうことから起こるドラマが描かれていました。ただ、私にとって納得がいかなかったのは、ナユグの存在が悪の権化のように扱われていたことです。
これまでのシリーズでは、ナユグの生き物が現実世界に干渉するのには何らかの目的があって、一種の共生関係を成立させるために現実世界を利用するというパターンだったと解釈しているのですが、今回はただ破壊を楽しむ生き物としか感じられませんでした。
これについては私の見当違いの可能性もあるでしょうが、以降の作品でどのような展開をするのか、注目したいと思います。
シリーズ初の上下巻でしたが、それほど重たいとは感じませんでした。むしろ今回は場面がダイナミックに動くので、スピーディな印象を覚えました。
今作では民族間の差別問題や同国内での地域間格差の問題、それらの軋轢から来る憎悪やねたみといった、現代の社会問題とも共通するテーマが多く盛り込まれていました。そうした中での中心テーマは「命の尊厳」。
そしてこのテーマを、この本の中心的な読者層と同年代の少女アスラの苦悩と成長の物語に託したところに、今作のすごさがあると言えるでしょう。まさにこの一点に、「なぜ人を殺してはいけないのか」という大問題の答えを現代の子どもたちに伝えたい、という作者の想いが込められていると思います。
以下、多少のネタバレあり
今回の作品は、少女アスラが異世界(ナユグ)の世界の存在を自分の身に宿すことで、神のごとき強大な力(武力という意味での)を手に入れてしまうことから起こるドラマが描かれていました。ただ、私にとって納得がいかなかったのは、ナユグの存在が悪の権化のように扱われていたことです。
これまでのシリーズでは、ナユグの生き物が現実世界に干渉するのには何らかの目的があって、一種の共生関係を成立させるために現実世界を利用するというパターンだったと解釈しているのですが、今回はただ破壊を楽しむ生き物としか感じられませんでした。
これについては私の見当違いの可能性もあるでしょうが、以降の作品でどのような展開をするのか、注目したいと思います。
Naoさん、いつもniceありがとうございます。
by イソップ (2009-09-28 21:58)