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短編集『Story Seller 2』完読 〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]

 以前、このブログでもレビューを書いた『Story Seller』の第2弾。昨年4月に小説新潮別冊として発行された「Story Seller Vol.2」を文庫化した『Story Seller 2』を紹介します。


Story Seller〈2〉 (新潮文庫)

Story Seller〈2〉 (新潮文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/28
  • メディア: 文庫



 前回は現代作家に疎かった私にとって衝撃的な一冊になったので、今回も期待して読みました。前回には及ばないという印象でしたが、今回も出来は上々。一気に読める短編が7篇収録されています。


 作家のラインナップはこの7人。


 沢木耕太郎、伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、本多孝好


 7篇の中で、私が特に気に入った作品を以下に紹介しましょう。



 近藤史恵「レミング」
 『Story Seller』収録「プロトン」の続編。自転車競技のプロの世界に身を置く男たちの生き様を描いた作品。実に渋い作品です。自転車競技にスポットを当てるところからして渋いと思ってしまうのですが、登場する主人公たちの生き様も渋い。大人の男たちが心の内に闘志を充満させて競技に向かっていく姿、その描写は壮快でした。


 佐藤友哉「444のイッペン」
 こちらも『Story Seller』収録「333のテッペン」の続編。東京ビッグサイトで四百四十四匹の犬が姿を消した謎の事件に主人公が巻き込まれる話。まだこの作家さんの他の作品は読んでいないのですが、クセになる文体ですね。流れる思考をそのまま書いたような文章と言葉の選び方がとても面白い。そして暴かれるほどに謎が深まる主人公の過去も気になるところです。女子高生探偵役は麻生久美子さんで。


 本多孝好「日曜日のヤドカリ」
 妻の連れ娘と義父が遭遇する日曜日の冒険。妙にしっかりした小学生の女の子の言動がいちいちかわいくて、親子なのに丁寧語で話す会話が不思議と心地良い作品でした。親子の絆、家族の大切さを子どもにはっと気付かされる、心温まる物語です。子どもはちゃんと、親のことを見てるんですよ〜。


 前回もそうでしたが、短編のもつ力に気付かされる一冊でした。すでに雑誌サイズで「Story Seller Vol.3」も刊行されているので、買ってしまおうかなぁと思っている今日この頃です。

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イソップ

jena07747さん、niceありがとうございます。

by イソップ (2010-05-14 20:44) 

イソップ

A(ジュッピイラ)さん、初めまして。
niceありがとうございます。

by イソップ (2010-05-14 20:46) 

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