短編集『Story Seller 3』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
新潮社が放つALL読み切りの短編集第3弾『Story Seller 3』の紹介です。私が読んだのは2010年4月刊行の小説新潮五月号別冊「Story Seller Vol.3」を文庫化したもので、約1年のタイムラグがあります。
今回の収録作家は以下の7名。収録順に
沢木耕太郎、近藤史恵、湊かなえ、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、さだまさし(敬称略)。
私の注目は初参戦の湊かなえさんとさだまさしさん。特にまっさん(さださん)は音楽ではパワープレーで聴いているミュージシャンですが、小説は初めて読んだので、新鮮でした。
ここから気になった作品について少しずつレビューを書きます。
近藤史恵「ゴールよりももっと遠く」
静かに熱く繰り広げられる男たちの自転車競技ストーリー。いつも心に迷いを抱えながら走る主人公赤城とストイックに勝利だけを見つめて走るエース石尾のコントラストが面白い作品でした。ロードレースのプロという世界のマイナースポーツゆえの厳しさも描かれていて、そこも興味深かったです。
今更ながら近藤史恵さんの『サクリファイス』が文庫で出ていると知って、今日、本屋さんで購入しました。『Story Seller』の第1弾が出たときから待っていたのでようやくという思いです。
湊かなえ『楽園』
阪神淡路大震災で被災し、双子の姉妹を亡くした主人公が南の島へ自分を取り戻しに行く物語。行き当たりばったりで海外に乗り込んで、軽快に旅をする主人公の行動力がちょっと羨ましかったです。母と子の間のトラウマが人生にどれほど影響を与えるのか、母親という存在が子どもにとってどれほど大きいのかを考えさせられる作品でもありました。
有川浩『作家的一週間』
ある作家がショートショートを一本仕上げるまでの一週間を描いた作品。いきなりとんでもなく下らない話を持って来ちゃうところにこの作家の凄みを感じました。完全にコメディ。伏せ字が飛び交います(笑)
この本の作品リストで知りました。第1弾で表題作にもなった「Story Seller」がsideBとして書き下ろしたもう1篇を追加して単行本『Story Seller』として刊行されているとのことです。こちらも今日、本屋さんで購入してしまいました。
さだまさし「片恋」
番組制作会社で働く女性の元に、見ず知らずの男性の交通事故死を知らせる警察からの電話。男性の所持品に女性の連絡先が書かれていたと言うけれど、女性にはまったく心当たりがありません。そんな中、女性は偶然秋葉原で無差別殺人事件に遭遇します。
いかにもさださんらしい、世の中に対するやり場のない苛立ちが滲み出ている作品でした。悪意の不在、ジャーナリズム、切ない恋心。人が好きだからこそ、罪を憎みきれない作者の心が文章からひしひしと伝わってきました。
今回の感想はこのくらいで終わります。やっぱり「書き手」の凄さに尻込みしてしまいますが、私も細々書いていきたいと改めて思っています。
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今回の収録作家は以下の7名。収録順に
沢木耕太郎、近藤史恵、湊かなえ、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、さだまさし(敬称略)。
私の注目は初参戦の湊かなえさんとさだまさしさん。特にまっさん(さださん)は音楽ではパワープレーで聴いているミュージシャンですが、小説は初めて読んだので、新鮮でした。
ここから気になった作品について少しずつレビューを書きます。
近藤史恵「ゴールよりももっと遠く」
静かに熱く繰り広げられる男たちの自転車競技ストーリー。いつも心に迷いを抱えながら走る主人公赤城とストイックに勝利だけを見つめて走るエース石尾のコントラストが面白い作品でした。ロードレースのプロという世界のマイナースポーツゆえの厳しさも描かれていて、そこも興味深かったです。
今更ながら近藤史恵さんの『サクリファイス』が文庫で出ていると知って、今日、本屋さんで購入しました。『Story Seller』の第1弾が出たときから待っていたのでようやくという思いです。
湊かなえ『楽園』
阪神淡路大震災で被災し、双子の姉妹を亡くした主人公が南の島へ自分を取り戻しに行く物語。行き当たりばったりで海外に乗り込んで、軽快に旅をする主人公の行動力がちょっと羨ましかったです。母と子の間のトラウマが人生にどれほど影響を与えるのか、母親という存在が子どもにとってどれほど大きいのかを考えさせられる作品でもありました。
有川浩『作家的一週間』
ある作家がショートショートを一本仕上げるまでの一週間を描いた作品。いきなりとんでもなく下らない話を持って来ちゃうところにこの作家の凄みを感じました。完全にコメディ。伏せ字が飛び交います(笑)
この本の作品リストで知りました。第1弾で表題作にもなった「Story Seller」がsideBとして書き下ろしたもう1篇を追加して単行本『Story Seller』として刊行されているとのことです。こちらも今日、本屋さんで購入してしまいました。
さだまさし「片恋」
番組制作会社で働く女性の元に、見ず知らずの男性の交通事故死を知らせる警察からの電話。男性の所持品に女性の連絡先が書かれていたと言うけれど、女性にはまったく心当たりがありません。そんな中、女性は偶然秋葉原で無差別殺人事件に遭遇します。
いかにもさださんらしい、世の中に対するやり場のない苛立ちが滲み出ている作品でした。悪意の不在、ジャーナリズム、切ない恋心。人が好きだからこそ、罪を憎みきれない作者の心が文章からひしひしと伝わってきました。
今回の感想はこのくらいで終わります。やっぱり「書き手」の凄さに尻込みしてしまいますが、私も細々書いていきたいと改めて思っています。
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末尾ルコ(アルベール)さん、いつもniceありがとうございます。
by イソップ (2011-02-25 21:35)