映画「コクリコ坂から」鑑賞。 [アート]
スタジオジブリの映画「コクリコ坂から」を観てきました。事前情報はほとんど入れずに鑑賞したんですが、思っていたより爽やかで、明るい青春映画でした。
簡単に言ってしまえば、青春純愛ストーリー。劇中の台詞にもありますが「安いメロドラマ」みたいな、大して中身もない話でした。でも、そこに凄みと感動を見出してしまうのが、スタジオジブリなんでしょうか。良い作品でした。
1963年、高度経済成長真っ只中の横浜。主人公・松崎海の通う高校ではある紛争が起きていました。伝統ある文化部の部室棟、通称カルチェラタンを取り壊すか、保存するかの対立です。ある日、海は保存派の筆頭である風間俊と出会い、ともに活動していく中で、次第に惹かれ合っていきます。そんな中、二人は俊の出生の秘密を知るのです…。
なんでもないストーリーですが、この映画、時代観の演出が素晴らしかったです。昭和、高度経済成長期、横浜、そしてそこに生きた高校生。ジブリ映画を観るといつも思うことですが、細かい仕草、人の動きの表現が実に巧みです。そこに“時代の所作”とでも表現できるでしょうか、昭和に生きた女性の仕草、振る舞いというのが細密に描かれています。
音楽も良かったです。所々に入る手嶌葵さんが歌う挿入歌は切なさを誘いますし、全体に流れるジャジーでポップなBGMは青春の高揚感を感じます。また、坂本九さんの「上を向いて歩こう」もメッセージ性が強くて響きます。
その時代を生きてきた世代にとっては、何とも言えない郷愁を誘う映画でしょう。20代前半の私が観ても、良い時代だったんだなって思いました。高校生はいきいきと自分たちの主張をぶつけ合って、大人たちは大らかで、みんなで助け合いながら生きている…。人間のぬくもりを感じました。
でも、私たち若い世代は、この大人たちのノスタルジアを、そのまま受け取ってしまってはダメなんじゃないかという気もしました。「戦後」から「高度経済成長」を生み出した大人たちが作り上げた、もう二度と戻ってこない「幸せな時代」を観て、それに憧れているようじゃいけないんじゃないかと思ったんです。
この時代をひとつの手本として受容するとしても、私たちが作っていくのはそれとは違う「新しい時代」でなくちゃならない。あの高度経済成長期は、二度と訪れないのだから。その方向はグローバル化なのか、ITの推進なのか、それとも技術の復興なのか、はたまた農業の再生なのかもしれません。
そして私たちは、やっぱり「昭和」を越えて行かなくちゃいけない。
そうなったときに、私たちにとってこの「昭和」は、ものすごい重荷になるかもしれないなって、ちょっと思いました。「高度経済成長期」と、もちろんその前の時代、つまり「戦争の時代」も。そこで、「ふざけんなよ、昭和なんて古臭いもの、もう邪魔だよ」と言ってうっちゃってしまいたくなる時が来るかもしれません。
もしかしたらそれが、若い世代にとって本当なのかもしれないとも思いました。私たちにとって「昭和」は、もはやどうでもいい過去でしかないっていうのが本音なのかもしれません。でも、あの時代の記憶と歴史をぜんぶ背負い込まなくちゃ、先の世界に行けないっていうことはわかってるんです。そこで踏みとどまれるかどうかは私たちの決断なんです。
だいぶ話が逸れてしまいましたが、これが「コクリコ坂から」から私へのメッセージです。ひとつの時代を築いた大人というのは残酷ですね。自分たちが作った「幸せな時代」を描きながら、その時代のノスタルジアをぶっ壊せって迫るんですから。もちろんぜんぶ、私の解釈です。
映画「コクリコ坂から」。爽やかで、中身がなくて、深くて、重たい物語でした(笑)
※「フレデリック・バック展」でもらった色紙です。
大切な人とご覧ください。
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簡単に言ってしまえば、青春純愛ストーリー。劇中の台詞にもありますが「安いメロドラマ」みたいな、大して中身もない話でした。でも、そこに凄みと感動を見出してしまうのが、スタジオジブリなんでしょうか。良い作品でした。
1963年、高度経済成長真っ只中の横浜。主人公・松崎海の通う高校ではある紛争が起きていました。伝統ある文化部の部室棟、通称カルチェラタンを取り壊すか、保存するかの対立です。ある日、海は保存派の筆頭である風間俊と出会い、ともに活動していく中で、次第に惹かれ合っていきます。そんな中、二人は俊の出生の秘密を知るのです…。
なんでもないストーリーですが、この映画、時代観の演出が素晴らしかったです。昭和、高度経済成長期、横浜、そしてそこに生きた高校生。ジブリ映画を観るといつも思うことですが、細かい仕草、人の動きの表現が実に巧みです。そこに“時代の所作”とでも表現できるでしょうか、昭和に生きた女性の仕草、振る舞いというのが細密に描かれています。
音楽も良かったです。所々に入る手嶌葵さんが歌う挿入歌は切なさを誘いますし、全体に流れるジャジーでポップなBGMは青春の高揚感を感じます。また、坂本九さんの「上を向いて歩こう」もメッセージ性が強くて響きます。
その時代を生きてきた世代にとっては、何とも言えない郷愁を誘う映画でしょう。20代前半の私が観ても、良い時代だったんだなって思いました。高校生はいきいきと自分たちの主張をぶつけ合って、大人たちは大らかで、みんなで助け合いながら生きている…。人間のぬくもりを感じました。
でも、私たち若い世代は、この大人たちのノスタルジアを、そのまま受け取ってしまってはダメなんじゃないかという気もしました。「戦後」から「高度経済成長」を生み出した大人たちが作り上げた、もう二度と戻ってこない「幸せな時代」を観て、それに憧れているようじゃいけないんじゃないかと思ったんです。
この時代をひとつの手本として受容するとしても、私たちが作っていくのはそれとは違う「新しい時代」でなくちゃならない。あの高度経済成長期は、二度と訪れないのだから。その方向はグローバル化なのか、ITの推進なのか、それとも技術の復興なのか、はたまた農業の再生なのかもしれません。
そして私たちは、やっぱり「昭和」を越えて行かなくちゃいけない。
そうなったときに、私たちにとってこの「昭和」は、ものすごい重荷になるかもしれないなって、ちょっと思いました。「高度経済成長期」と、もちろんその前の時代、つまり「戦争の時代」も。そこで、「ふざけんなよ、昭和なんて古臭いもの、もう邪魔だよ」と言ってうっちゃってしまいたくなる時が来るかもしれません。
もしかしたらそれが、若い世代にとって本当なのかもしれないとも思いました。私たちにとって「昭和」は、もはやどうでもいい過去でしかないっていうのが本音なのかもしれません。でも、あの時代の記憶と歴史をぜんぶ背負い込まなくちゃ、先の世界に行けないっていうことはわかってるんです。そこで踏みとどまれるかどうかは私たちの決断なんです。
だいぶ話が逸れてしまいましたが、これが「コクリコ坂から」から私へのメッセージです。ひとつの時代を築いた大人というのは残酷ですね。自分たちが作った「幸せな時代」を描きながら、その時代のノスタルジアをぶっ壊せって迫るんですから。もちろんぜんぶ、私の解釈です。
映画「コクリコ坂から」。爽やかで、中身がなくて、深くて、重たい物語でした(笑)
※「フレデリック・バック展」でもらった色紙です。
大切な人とご覧ください。
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家族が見たんですけど、帰ってすぐ、おもんなかったて言うて
ました^^;
人それぞれでしょうか・・・w いろいろ巧みなのは、宮崎はやおさんも
監修したおかげでしょうか? NHKで宮崎親子の葛藤のドキュメント
でやってました☆
私は、新しい時代は機械化の時代のイメージなんですよね。。。
けっきょく、私は昔の生活の方がいいと思うんですよね。。。
環境にも、生き抜く強さ的にも、、、 最後は自給自足しないと
駄目な時代が来るかもしれないし。 福島の原発とか見てると
感じちゃいます。。。便利な世の中がいいとは思わないです。
私も話それちゃいましたねw
最後に、長澤まさみの声優はどうでしたか? 岡田君はともかく
まさみちゃんは下手なような気が・・・w
by あい (2011-08-16 15:25)
ごらんになりましたか^^
銀幕で見たことがなぜか無いスタジオジブリ作品なのですが……
イソップさんのように、ひとつの作品からメッセージを拾うのは、ひとつの才能だと思います。
んー。ジブリってどうも「もののけ姫」から下降してる印象があるんですけどね。昭和に引きずられちゃダメ、ってのもあるんですが、むしろ世間はジブリに引きずられちゃダメなんじゃないかなって。過去の栄光?に引きずられてるような気がしてなりません。俳優を使いまくってみたりね。
今、日本は過渡期に来てるんだと思うんです。
発展するだけしたから、突っ走りきるか没落するか。多くの先進国がぶつかる壁で、だからこそ昭和とか明治とかの「頑張るぜ!」エネルギーに満ちていた時代を懐古する。かといってそこに立ち直ることもできずに足掻いてるのが、今なんだろうなぁと思って見ています。足掻ききった先に何があるのかは分からないけれど、熟れた果実は破裂するか、食べられるか……どうなんでしょうね??
by アマカワ (2011-08-16 15:54)
あいさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
昔の生活は、今描かれたものを見るととても魅力的ですね。
私も良い時代だったんだろうなって思います。
でも世の中が進んでいる以上、タイムスリップしない限り、昔には戻れないわけで。
昔の生活を理想とするなら、どうしたらそれが実現するのかを考える必要があります。
どこに向かうのも、簡単ではないですね。
長澤まさみさんは、悪くなかったと思います。控えめの少女を上手く演じていました。
by イソップ (2011-08-16 16:26)
アマカワさん、いつもありがとうございます。
実はあまりジブリファンではないので、ジブリについては語れません(笑)
声の出演に俳優を使うことには、あまり抵抗はない方です。もちろん声優も好きですが、俳優の力も信頼しているので。
私たち若い世代は、ちゃんと足掻けているんでしょうか。もしかしたら足掻く前にあきらめてしまってるんじゃないか、というのは自分への問いかけです。
破裂した果実が種を蒔き、新しい芽が出るように祈ります。
by イソップ (2011-08-16 16:43)
SORIさん、niceありがとうございます。
by イソップ (2011-08-17 23:05)