印象派のパトロン『カイユボット展』鑑賞 [アート]
招待券があるというので、友人に誘われてカイユボット展に行ってきました。東京駅近くのブリジストン美術館で、12月29日まで開かれています。パリの都市を描いた画家として有名なカイユボットですが、この展覧会を見てみると実に多彩な絵を書いていたことがわかりました。
カイユボットと言えば、オルセーで見た『鉋をかける人々』を思い出すのですが、今回それは来ていませんでした。興味深かったのは、彼のパトロンとしての側面と、それが自身の絵画に影響を及ぼしていたという点です。
まず、彼は印象派の画家の中でトップクラスのお金持ちでした。印象派の画家たちの作品を自ら買って彼らを支援し、印象派展の開催に尽力した人物でもあります。自分でも絵を描いていたのですが、お金があって売る必要がなかったために世に出回らず、評価が遅れたということのようです。
今回の目玉はパリの陸橋を描いた『ヨーロッパ橋』。橋の上から歩いている人々を描いた作品で、パリの人間模様が見て取れます。絵画の世界に新しい「都市」を描く視点を与えたことで印象派とされていますが、この絵画は技法としては印象派特有の筆触分割などを施していません。
一方で、同時期に都市を離れ、夏の保養地として過ごしていたイエールやプティ・ジュヌヴィリエなどでは、細かな筆触分割を用いた庭園や河川などの自然の風景を描いていました。私はこのギャップに驚きました。その作品群はモネの技法に影響を受けていて、さながらモネが描いたかのような情感豊かな作品ばかりだったのです。
もともと詳しいわけではありませんでしたが、私はカイユボットのことを全く知らなかったのだと思い知りました。こんなに抽出の多い画家だとは思っていませんでした。個人的には都市よりも自然風景を描いた作品の方が好みでした。
また、後年は都市風景画の中にも筆触分割を取り入れた絵を描いており、バラエティに富んだ作風を見せていました。自身が印象派のパトロンだったと言うこともあり、色々な画家の出した答えを自分でも試してみたいという思いがあったのかもしれません。自分の作品は売れなくていいわけですから、好き勝手に実験をできるというわけです。
一人の画家がこんなに多彩な絵を描くのかと、刺激を受ける展覧会でした。
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カイユボットと言えば、オルセーで見た『鉋をかける人々』を思い出すのですが、今回それは来ていませんでした。興味深かったのは、彼のパトロンとしての側面と、それが自身の絵画に影響を及ぼしていたという点です。
まず、彼は印象派の画家の中でトップクラスのお金持ちでした。印象派の画家たちの作品を自ら買って彼らを支援し、印象派展の開催に尽力した人物でもあります。自分でも絵を描いていたのですが、お金があって売る必要がなかったために世に出回らず、評価が遅れたということのようです。
今回の目玉はパリの陸橋を描いた『ヨーロッパ橋』。橋の上から歩いている人々を描いた作品で、パリの人間模様が見て取れます。絵画の世界に新しい「都市」を描く視点を与えたことで印象派とされていますが、この絵画は技法としては印象派特有の筆触分割などを施していません。
一方で、同時期に都市を離れ、夏の保養地として過ごしていたイエールやプティ・ジュヌヴィリエなどでは、細かな筆触分割を用いた庭園や河川などの自然の風景を描いていました。私はこのギャップに驚きました。その作品群はモネの技法に影響を受けていて、さながらモネが描いたかのような情感豊かな作品ばかりだったのです。
もともと詳しいわけではありませんでしたが、私はカイユボットのことを全く知らなかったのだと思い知りました。こんなに抽出の多い画家だとは思っていませんでした。個人的には都市よりも自然風景を描いた作品の方が好みでした。
また、後年は都市風景画の中にも筆触分割を取り入れた絵を描いており、バラエティに富んだ作風を見せていました。自身が印象派のパトロンだったと言うこともあり、色々な画家の出した答えを自分でも試してみたいという思いがあったのかもしれません。自分の作品は売れなくていいわけですから、好き勝手に実験をできるというわけです。
一人の画家がこんなに多彩な絵を描くのかと、刺激を受ける展覧会でした。
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makimakiさん、niceありがとうございます。
by イソップ (2013-12-24 21:48)