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安保法案成立に寄せて [日記]

 私の持つ思想上の理想は、日本国憲法が掲げるところの「平和主義」であり、イエスが実践するところの「隣人愛」であり、マハトマ・ガンジーが体現するところの「非暴力・不服従」です。これは私が「こうありたい」という理想であり、人類が将来的に到達する究極の理想の一つであると信じています。


 それを前提に、私は先に国会で成立したいわゆる「安保法案」に反対の立場を取ってきました。はっきり言ってしまえば、私が理想として掲げる主張からすれば、武力と名のつく法律自体が議論の余地なく反対であって、日米同盟と自衛隊を基礎としているこの国の安全保障体制は、生まれたときから「理想的ではない状態」でした。


 でも、現実はここにあって、私は二十数年間、その中で生きてきたのです。そして今回も、私に為す術はなく、法案は可決され、日本国は私の理想とする思いから、一歩後退しました。


 そこで、です。


 どうせ現実と理想がかけ離れているならば、現実をしっかり見ようじゃないか、という思いに至りました。自分の理想と違うから反対、はいいとしても、だからこの件について議論をしない、では私は誰とも話ができなくなってしまう、と思ったからです。


 ということで、せっかくの連休(私は3連休)なので、「安保法案」とそれに関連する法律に目を通しました。


 結構時間をかけて、解説とかも読みながら全文を読みました。が、色々考えた結果、法案に反対している人たちの主張というのは、自衛隊の存在という既成事実の前に、あまりに無力ではないか、という思いに至りました。


 今回の法律で自衛隊の出動範囲は広がりました。「我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至つた事態」だけでなく、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」にも自衛隊を防衛出動させることができるようになります。


 この追加された事態っていうのが、いわゆる「集団的自衛権」であって、これは憲法違反だというのが大きな議論になりました。


 たとえばアメリカが攻められて、このアメリカへの攻撃が回り回って日本人の幸せが脅かされるかもしれない、となったときには自衛隊を出動させるよ、ということです。


 ただね。これって憲法違反でしょ、って言ったって、それは「アメリカさんには悪いけど、君たちの戦争に日本人の自衛官を巻き込ませて、死なせるわけにはいかないよ。だって憲法九条があるんだし」って言ってるようなものなんですよ。アメリカ軍には日本を守らせておいて、ですよ。


 先ほど現実に向き合うって言っておいて、時代を巻き戻すのも本当に申し訳ないと思いますが、だから日本の戦争反対論者は、日本に自衛のための戦力を持たせたときに一回負けてるんです。自衛隊法ができたことに比べたら、こんなもん既定路線なんじゃないか、って思ってしまうんです。


 くどいようで大変申し訳ないのですが、憲法九条の条文を以下に引用します。

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


 私には、どうしても、この条文を以て自衛隊の存在を正当化することができるようには思えません。


 その他の点について正直な感想を言えば、自衛隊が日本国外で「国際協力」の為に活動をするという前提があるならば、この法律に書かれていることは、想定されてしかるべきで、また法律に規定されてしかるべき内容ではないかと思いました。


 迷彩服を着て、武装をして紛争地域に赴く人間に、持っている武器を使うなと命じることは、死んでこいと言っているのと同じ事です。


 私が今日、現実について考えられるのはこれが限界です。この結論に至って、願うのは、この法律が想定する事態に陥らないこと、この法律が意味を成さなくなるほどに世界が平和になることです。そのための手段が、武力以外であって欲しい。


 だから、いま、戦争反対論者にできることは、言葉で、芸術で、デザインで、スポーツで、あらゆる表現を駆使して、争いをなくす声を上げること、なのではないでしょうか。


 人間には、平和を追い求める義務がある。そう思います。


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