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小篇「星の瞬き」タイムマシーンのショート×3(没ネタ供養) [小噺・小ネタ]

「博士!私タイムマシンが欲しいの」


「なにタイムマシンが欲しい? そうだなぁ。それなら空を見上げてごらん。星が見えるかい?この星の瞬きは実は、いま、この瞬間の光じゃないんだ。一光年遠ければ一年前の光、一万光年先なら一万年前の光が、いま君の目に届いているんだ。それだけでも、時間旅行をした気分にならないかい?」


「へえ、なんだかロマンチックですね」


「もう一つ教えてあげよう。永遠に輝き続けるように思えるこの星たちにも、寿命がある。例えば、ほらそこに見えるあの星も、一万年前はそこにあって輝いていたけれど、もしかしたら今はもう、寿命が尽きて、爆発して、チリと化しているかもしれないんだ。いま君の目に映っていることが、必ずしも真実とは限らないのだよ」


「そんなの、そんなの寂しすぎます。それじゃあ何も信じられません!」


「じゃあ最後に一つだけ。遠い時間の経過が信じられないのなら、いま目の前の真実だけを信じなさい」


「え、それって、その真実って何なんですか?」


「いま、この瞬間に、この世でたった一つだけ真実がある。それは、私から君への愛だ。そしてそれは、未来永劫、変わることはないだろう。私と結婚してくれるかい?」


「ふふ、もう、博士ったら!そんな台詞でイマドキの女子大生が落とせると思ったんですか?タイムマシンでも乗って出直してきてください」


これが博士の101回目のプロポーズであることなど、彼女には知る由もなかった。

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小篇「同じ顔の男」タイムマシーンのショート×3(没ネタ供養その2) [小噺・小ネタ]

 目の前に自分と同じ顔の男が立っていた。


「お、驚いてるな、オレ、明日から来たお前なんだぜ」


「は、いやいや、え、なに?」


「信じられないなら教えてやろう。今朝お前は大便をした時に途中で紙がなくなって、慌ててお母さーん!って叫んだだろう」


「いや、そういうのいいから。え、なんで?なんで明日から来た?」


「ん?まだ信じてないな?じゃあ昨日の夜、お前はタンスの角に足の小指をぶつけて…」


「いやいやいや、なにおかしなこと口走ってるんだよ。分かったから落ち着け。なんだよそのテンション、明日のオレそんなキャラかよ」


「なに?まだ信用できないって?お前は昨日の昼間、片思いのゆきえちゃんに告白して、『キモいんだけど』って言われて玉砕して…」


「いや、知ってるよ!分かったから。信じてるから。オレ昨日から散々なんだよ!お前に言われるまでもなく、オレの今の気分は最低なんだよ!」


「お、ようやく信じてくれたか、いや実はな、お前は明日、下校中にタイムマシンを見つけるんだ、そのタイムマシンは自分が生きてる過去ならいつでも戻ることができて…」


「だ、か、ら!なんで今日なんだよ!」


「え?」


「全部起きたあと!告白も!タンスの角も!紙がなかったのも!全部起きたあとなの!普通さ、こういうのって何か悪いことが起こる前にさかのぼって過去の自分に忠告したりして、未来を変える的なやつじゃん!なんで全部起こったあとの今日に、お前は来てるんだよ!」


「いやお前が気落ちしてるのオレ知ってたからさ、明日こんないいことがあるんだぞ〜って教えてあげたくて」


「やり直ーし!お前の優しさはわかった。オレはお前に救われたよ、ありがとう。でも今すぐ戻れ!さっさとタイムマシンまで戻って昨日に戻れ、いいな!昨日の朝だぞ!」


「いや、実は戻り方の説明書、読むの忘れちゃって、戻れないんだ」


「オレほんとバカだー!」

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小篇「未来から来た男」タイムマシーンのショート×3(没ネタ供養) [小噺・小ネタ]

 タイムマシンで未来から来たという男に出会った。とても裕福そうには見えない、顔にアザのある男だった。男は言った。


「このタイムマシンは、1時間後には1人の人間を乗せて未来へ戻らなければならない。私はここに残る。君にぜひ、未来へ行ってもらいたい。なに、心配はいらないさ。これは定期便のようなもので、1時間おきに向こうとこちらを行ったり来たりしている。未来が気に入らなければ、すぐ戻ってくればいい。私のいた時代は、私のようなゴロツキでさえ、簡単にタイムトラベルができるほど、タイムマシンが普及しているのだよ」


 私は文字通りその男に乗せられて、タイムマシンで未来へ行くことにした。私はストレスと競争ばかりの今の世の中に飽き飽きしていた。例え未来がどんな時代だろうと、今を生き続けるよりはマシだろうと思ったのだ。


 たどり着いた先は荒野だった。遠くに廃墟となった未来都市が見える。目の前では無数の人間が殴り合いをしていた。どうやらこのタイムマシンを巡って争っているようだ。


 その瞬間、私は落胆とともに悟った。私はここで、1時間も生き延びなければならないのか、と。

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オモシロアリの研究 [小噺・小ネタ]

 このほど、M大学の研究チームが、オモシロアリの交配に関する研究の成果について発表した。


 オモシロアリとは日本の東北地方に生息するアリの仲間で、昆虫の体節を大きく三つに分けた頭部・胸部・腹部のうち、頭部だけが白いのが特徴の種である。和名の由来は、まさに頭の部分、つまり面(おも)が白いというこの特徴から命名された。


 さて、ここに別の種類のアリがいる。和名をオジロアリという。こちらは南米に生息するアリで、もうお分かりと思うが三つに分けた体節のうち腹部だけが白い。なぜハラシロアリとならなかったのか気になるところだが、尾っぽの方が白いのだから、見た目としてはしっくりくる。


 M大学のチームの研究というのは、この二種の交配だ。頭部だけが白いアリと腹部だけが白いアリ、このアリ同士を交配させたら、果たしてどんなアリが生まれるのか。この研究をくだらないと思うか、興味深いと思うかは人それぞれだろう。


 チームリーダーである八田教授は、この研究のために南米に飛んで希少種であるオジロアリの検体をアマゾンの奥地で千体以上も採取したというから涙ぐましい。


 苦節二年、様々な角度からの研究の末、ついに交配に成功し、生まれたアリは皆様のご想像通り、頭部と腹部が白い、全く新しいアリとなった。そしてこのほど、このアリが新種として認定され、世の人々の知るところとなったのだ。


 ここで議論となったのが、新種のアリの名称である。命名権はリーダーである八田教授が持つことになったが、悩んだ彼はチームのメンバーと話し合うことにした。ここで事態は思わぬ方向へと進むことになる。

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謎かけで「第4回 ネゴキング」獲得! [小噺・小ネタ]

 イソップは「ネゴキング」の称号を手に入れた!


 ブログ解析サイト「blogram」さんが行っている寝言つぶやき企画「ネゴトーク」。これは言ってみれば「お題付きツイッター」のようなもので、様々な事柄に関する「ひとこと寝言」を投稿できるサービスです。


 このサイトでは定期的に、この「ネゴトーク」を使って、あるお題に関する「寝言」をコンテストのように審査するイベントを行っています。それがネゴトークイベント「〜おもしろネゴトNo.1〜 ネゴキング」です。


 私が投稿した第4回のお題は、『「夏の謎かけ」に挑戦!』ということで、「花火」「オバケ」「おじいちゃん/おばあちゃん」のうち、どれか1つをお題にした謎かけを作るというものでした。審査は運営側の評価で決まるということだったので、真剣に考えれば上位に入れるのではないかと思い、いくつかひねってみました。

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「ダイアログ三題噺」Vol.1 缶・ドッペルゲンガー・ミルクティー [小噺・小ネタ]

 暑くて外に出る気になりません。だからネタもありません…。そんなわけで、自分でネタを作っちゃいました。新企画「ダイアログ三題噺」を発表いたします!


 今、mixi内のアプリで「三題噺お題作成ツール」というのが公開されています。これはクリック1つで勝手に三題噺のお題を提供してくれるもので、ランダムに選んだ3つの単語を表示する単純なアプリです。


 これを活用してなにか書いてみようかなと思ったのが今回の企画の始まりです。でも、ただ三題噺を作って公開するというのもつまらないので、対話形式(ダイアログ形式)で三題噺を書いてみたわけです。


 最初はフリートークのつもりで書いていたんですが、だんだん漫才のネタみたいになっていってしまいました。気が向いたら読んで下さい。


お題 缶 ドッペルゲンガー ミルクティー

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小噺「桜は散るから美しい」 [小噺・小ネタ]

 先日、阿刀田高さんのエッセイ本(『殺し文句の研究』新潮文庫)を読んだのですが、その影響からか、自分もエッセイのようなものを書いてみたくなりました。考えてみれば、そもそもブログって随筆の類を書くものですよね。


 読み返してみると私のブログにはそういう記事は少ないようで、本格的にそんな記事を捻ってみるのもいいかもしれないと思い始めました。たまたま今日書くネタがなかっただけというのは内緒です。


 ただ書いてみたら、どうも噺家(はなしか)口調になってしまいました。これは先週、談志師匠の声を聞いたからでしょうか。なのでエッセイと言うより小噺(こばなし)ですね。阿刀田先生や談志師匠には到底及びませんが、ひとつお付き合い下さい。


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日本語について考える 〜【煮詰まる】の意味を例に〜 [小噺・小ネタ]

 唐突ですが、みなさんはこの例文を読んで、どうお感じになりますか。


 「会議が始まって2時間が経ち、議論が煮詰まってきた。」


 いまや使い古されたと言ってもいい、「煮詰まる」という言葉の意味の問題です。もちろんこの使い方自体が慣用表現で、元々の意味は「煮えて鍋の中の水気がなくなる」(『新明解国語辞典 第六版』)と説明されています。ただ、上の例文を見てこの意味を答える人はいないでしょう。


 上の例文で私が正しいと思う意味は、「論点が出尽くして、問題が解決に向かってきた」という意味です。そしてこれが元々の意味から派生した慣用表現としては最初に出てきた意味だと思われます。ちなみに、手許にある辞書の範囲ですが、1969年に刷られた『岩波国語辞典』にはこの意味は書かれていませんでした。


 ところが、現在では上の例文の意味として、「議論が行き詰まって、これ以上前に進まなくなった」と考える人が多くなっているようです。おそらく、「詰まる」の意味に引っぱられてこの意味が出てきたのでしょう。私は自分で調べるまで、この意味を誤用だと思っていました。


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HN占い [小噺・小ネタ]

 たまにはこんな記事も。友達がmixiに載せていたのでやってみました。ハンドルネーム占いです。

ハンドルネーム占い
http://hname.net

イソップ
(2) (2) (3) (2)
総運:13
中吉

才能豊かで、特に芸術的センスに秀でる運気。
困難な事にも、真正面から対峙し克服できる。
人当たりもよく、自然によい人材が寄ってきます。
過度の自惚れに注意。

大吉>中吉>小吉>吉>半吉>末吉>凶>大凶

 まあ、ハンドルネームと言っても私の場合は童話(編纂)の大巨匠の名前で、たぶんよくあるニックネームですけどね。で、占いの下にこんなのが付いています。

くだらない改名案↓

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アハ!ピクチャーその2 [小噺・小ネタ]

 最近、卒論とバイトばかりの生活になっていて、これといったネタがないので、困ったときのアハ!ピクチャー。今回が第2弾です!

 ルールは簡単、白と黒だけの絵に加工された写真から、元の写真を当てるだけ。写真は私が撮ったものです。それでは行きましょう。

マツバギクーafter.jpg

 ヒントは、暑い季節にパーッと花開くアレです! わかるかな〜?





正解はこちら!


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