有川浩の名作シリーズ『図書館戦争』4部作〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
今回は有川浩さんの小説『図書館戦争』4部作をご紹介します。ずっと待ち望んでいた文庫版が、今年の春から5ヶ月連続刊行されています。一冊ずつ紹介するか、全部読んでからにするか迷いましたが、悩んでいるうちに全部読んでしまいました。
舞台は本の検閲が許された日本。「メディア良化法」という法律が成立した近未来の日本は、「公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる」ための事実上の検閲が認められ、武力による取り締まりも行われるようになっていました。この検閲に唯一対抗できる組織は「図書館の自由に関する宣言」を持つ図書館でした。図書館は表現の自由を守るために武装し、検閲実行組織である「メディア良化委員会」との抗争を繰り広げていました。
主人公は図書隊に入隊したての新人女性防衛員・笠原郁。高校生の時に図書隊員に自分と大好きな本を守られたのをきっかけに、その図書隊員に憧れて入隊を決意した経緯を持っています。彼女を中心に検閲闘争や謀略の日々がめまぐるしく展開され、合間に恋愛フェイズが差し込まれるといった内容です。
舞台は本の検閲が許された日本。「メディア良化法」という法律が成立した近未来の日本は、「公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる」ための事実上の検閲が認められ、武力による取り締まりも行われるようになっていました。この検閲に唯一対抗できる組織は「図書館の自由に関する宣言」を持つ図書館でした。図書館は表現の自由を守るために武装し、検閲実行組織である「メディア良化委員会」との抗争を繰り広げていました。
主人公は図書隊に入隊したての新人女性防衛員・笠原郁。高校生の時に図書隊員に自分と大好きな本を守られたのをきっかけに、その図書隊員に憧れて入隊を決意した経緯を持っています。彼女を中心に検閲闘争や謀略の日々がめまぐるしく展開され、合間に恋愛フェイズが差し込まれるといった内容です。
米澤穂信のファンタジー! 『折れた竜骨』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
ミステリーの申し子、米澤穂信さんがファンタジーに挑んだ作品『折れた竜骨』についてご紹介します。東京創元社の《ミステリ・フロンティア》レーベル7周年を記念して書き下ろされた剣と魔法と謎解きの長編です。
この本を知ったきっかけはこのブログ。友人からのコメントで勧められたので購入しました。普段は文庫版しか買わない私ですが、「米澤穂信」と「ファンタジー」というキーワードで飛びつきました(笑)
ファンタジーと言っても、舞台は12世紀のヨーロッパ。北海に浮かぶソロン諸島での殺人事件が題材です。そしてやっぱり本質はミステリーです。もっとも、米澤穂信が東京創元社から出版しておいて、ミステリーじゃないわけがないんですけれども(笑)
ソロン諸島の領主の娘アミーナは、放浪の騎士ファルクとその従士である少年ニコラに出会います。騎士はアミーナの父ローレントに魔術によって人を殺す暗殺騎士が御身の命を狙っていると告げます。暗殺騎士は魔術によって他人を操り、確実に獲物を仕留めると言います。奇しくもそのときローレントは、ソロンの宿敵・呪われたデーン人たちの来襲に備え、傭兵を集めていました…。
この本を知ったきっかけはこのブログ。友人からのコメントで勧められたので購入しました。普段は文庫版しか買わない私ですが、「米澤穂信」と「ファンタジー」というキーワードで飛びつきました(笑)
ファンタジーと言っても、舞台は12世紀のヨーロッパ。北海に浮かぶソロン諸島での殺人事件が題材です。そしてやっぱり本質はミステリーです。もっとも、米澤穂信が東京創元社から出版しておいて、ミステリーじゃないわけがないんですけれども(笑)
ソロン諸島の領主の娘アミーナは、放浪の騎士ファルクとその従士である少年ニコラに出会います。騎士はアミーナの父ローレントに魔術によって人を殺す暗殺騎士が御身の命を狙っていると告げます。暗殺騎士は魔術によって他人を操り、確実に獲物を仕留めると言います。奇しくもそのときローレントは、ソロンの宿敵・呪われたデーン人たちの来襲に備え、傭兵を集めていました…。
米澤穂信『犬はどこだ』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
ずいぶん更新を空けてしまいました。お久しぶりです。前回更新が5月4日ですか。GW中ですね。
実はGW明けあたりから体調が悪くて、それに仕事の忙しさも加わって、なかなかブログを書く気力と体力が湧いてきませんでした。先週末は熱を出して寝込んでいました。5月病ですかね…。
さて、今日は本の話をします。米澤穂信の本格ミステリ『犬はどこだ』のご紹介です。
主人公紺屋長一郎が地方都市で犬捜し専門の探偵を始めるところから物語は始まります。犬捜し専門と謳ったはずが、舞い込んできた初仕事は失踪人捜索と古文書解読。成り行き上、雇うことになった半田平吉と依頼を分担して調査を進めることになるのですが、二つの依頼は次第に結びついていき、最後にはある計画が明らかになる、というような物語です。
実はGW明けあたりから体調が悪くて、それに仕事の忙しさも加わって、なかなかブログを書く気力と体力が湧いてきませんでした。先週末は熱を出して寝込んでいました。5月病ですかね…。
さて、今日は本の話をします。米澤穂信の本格ミステリ『犬はどこだ』のご紹介です。
主人公紺屋長一郎が地方都市で犬捜し専門の探偵を始めるところから物語は始まります。犬捜し専門と謳ったはずが、舞い込んできた初仕事は失踪人捜索と古文書解読。成り行き上、雇うことになった半田平吉と依頼を分担して調査を進めることになるのですが、二つの依頼は次第に結びついていき、最後にはある計画が明らかになる、というような物語です。
米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
連日の本の紹介です。米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』。エアコンが例年通り稼働するなら、暑くなるこれからの季節にぴったりの作品です。
自分たちの本当の性格を隠すため、「小市民」を演じるためにお互いを利用する高校生の男女、小鳩常悟朗と小山内ゆき。物語はスイーツ好きの小山内さんが、夏休みを利用して町内のスイーツ巡りをする「小山内スイーツセレクション・夏」に常悟朗を誘うことから始まります。
夏休みにスイーツ巡りのデートを繰り返す高校生カップル。傍から見ればなんてラブラブな仲なんだと誰もが思うところですが、二人の交際は世を忍ぶ仮の姿。お互いの本性を周囲に悟られないための隠れ蓑に過ぎません。常悟朗もそのことは心得ているので、次第に小山内さんの行動に疑惑の目を向けていきます…。
と、まあ、あらすじはこんなところで、上辺だけ読むと何ともお花畑系の小説なのかと思いがちですが、そこは米澤穂信さん。この小説は本格ミステリです。月並みな言い方ですが、文中にはいくつもの伏線が張り巡らされ、最後には世にも恐ろしい結末が待っています。こんなこと書いてたらブックレビュー失格ですね(笑)
自分たちの本当の性格を隠すため、「小市民」を演じるためにお互いを利用する高校生の男女、小鳩常悟朗と小山内ゆき。物語はスイーツ好きの小山内さんが、夏休みを利用して町内のスイーツ巡りをする「小山内スイーツセレクション・夏」に常悟朗を誘うことから始まります。
夏休みにスイーツ巡りのデートを繰り返す高校生カップル。傍から見ればなんてラブラブな仲なんだと誰もが思うところですが、二人の交際は世を忍ぶ仮の姿。お互いの本性を周囲に悟られないための隠れ蓑に過ぎません。常悟朗もそのことは心得ているので、次第に小山内さんの行動に疑惑の目を向けていきます…。
と、まあ、あらすじはこんなところで、上辺だけ読むと何ともお花畑系の小説なのかと思いがちですが、そこは米澤穂信さん。この小説は本格ミステリです。月並みな言い方ですが、文中にはいくつもの伏線が張り巡らされ、最後には世にも恐ろしい結末が待っています。こんなこと書いてたらブックレビュー失格ですね(笑)
有川浩『阪急電車』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
阪急今津線を舞台に絡み合ういくつもの人生といくつかの恋。有川浩さんの小説『阪急電車』のご紹介です。
この作品は、「阪急今津線」の一駅を1章として短編を重ね、複数の登場人物が主観の独立した物語を電車内でのすれ違いで関連を持たせて大きなひとつの物語にしていく形で作られています。
こんな書き方をすると複雑で難解なお話と勘違いされてしまいそうですが、とてもわかりやすくてスラスラ読める一冊です。
言ってみれば、主人公は「阪急電車」。その中で行き交う人々をちょっとした人情の連鎖がつないでいって、いつの間にか笑顔になっていく、そんなお話です。
この作品は、「阪急今津線」の一駅を1章として短編を重ね、複数の登場人物が主観の独立した物語を電車内でのすれ違いで関連を持たせて大きなひとつの物語にしていく形で作られています。
こんな書き方をすると複雑で難解なお話と勘違いされてしまいそうですが、とてもわかりやすくてスラスラ読める一冊です。
言ってみれば、主人公は「阪急電車」。その中で行き交う人々をちょっとした人情の連鎖がつないでいって、いつの間にか笑顔になっていく、そんなお話です。
米澤穂信『ボトルネック』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
近藤史恵『サクリファイス』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
なかなかブログに向き合うことができず、更新が少なくなっています。そうこうしている間に読んだ本が溜まってきたので、少しずつ記事にしていこうと思います。
近藤史恵さんの小説『サクリファイス』。ハードカバーが出たのが2007年ですから、だいぶ経ってから文庫での拝読です。短編集『Story Seller』でこの物語のスピンオフ短編を読んで興味を持って、文庫になるまで待っていました。
主人公はプロのロードレースチームに所属する青年・白石誓(ちかう)。彼には陸上選手として期待されながら、突然陸上をやめ、自転車競技に転身した経歴がありました。
プロチームは国内を中心にツアーを回り、各地を転戦します。主人公の所属するチーム・オッジはエース石尾を中心にレースを戦い、他の選手は彼をアシストすることで役割を果たします。主人公はエースを勝利に導く【アシスト】という役割にやりがいを感じながら、自転車競技を戦います。
物語は主人公の主観で書かれ、チームメイトやライバルとの人間関係やレース中の駆け引きが躍動感とともに描かれていきます。日本を縦断するツール・ド・ジャポンの戦いを前半の山として、後半はヨーロッパ遠征リエージュ・ルクセンブルクを描き、そこで起きてしまった悲劇から、物語はサスペンスへと展開していきます。
近藤史恵さんの小説『サクリファイス』。ハードカバーが出たのが2007年ですから、だいぶ経ってから文庫での拝読です。短編集『Story Seller』でこの物語のスピンオフ短編を読んで興味を持って、文庫になるまで待っていました。
主人公はプロのロードレースチームに所属する青年・白石誓(ちかう)。彼には陸上選手として期待されながら、突然陸上をやめ、自転車競技に転身した経歴がありました。
プロチームは国内を中心にツアーを回り、各地を転戦します。主人公の所属するチーム・オッジはエース石尾を中心にレースを戦い、他の選手は彼をアシストすることで役割を果たします。主人公はエースを勝利に導く【アシスト】という役割にやりがいを感じながら、自転車競技を戦います。
物語は主人公の主観で書かれ、チームメイトやライバルとの人間関係やレース中の駆け引きが躍動感とともに描かれていきます。日本を縦断するツール・ド・ジャポンの戦いを前半の山として、後半はヨーロッパ遠征リエージュ・ルクセンブルクを描き、そこで起きてしまった悲劇から、物語はサスペンスへと展開していきます。
小劇団の群像劇に感涙。有川浩『シアター!2』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
小劇団にスポットを当てた有川浩さんの小説『シアター!2』を読みました。前作に続き、胸を衝く物語でした。確かシリーズ1作目の『シアター!』についての感想はかきそびれていたと思います。なので、1作目の感想も併せて書いていきましょう。
公演を打てば千人を超える集客のある小劇団「シアターフラッグ」。それでも演劇の世界は厳しく、採算は合わずに積もった赤字は300万円。劇団主宰の春川巧は、兄の司に泣きついてお金を貸してくれるよう頼みます。司はお金を貸すことを承諾したものの、代わりに厳しい条件を出しました。それは、2年間で300万円返せなかったらこの劇団を解散しろ、というもの。商業的に売れない劇団員たちのオトナの青春群像劇の幕が開きます…。
公演を打てば千人を超える集客のある小劇団「シアターフラッグ」。それでも演劇の世界は厳しく、採算は合わずに積もった赤字は300万円。劇団主宰の春川巧は、兄の司に泣きついてお金を貸してくれるよう頼みます。司はお金を貸すことを承諾したものの、代わりに厳しい条件を出しました。それは、2年間で300万円返せなかったらこの劇団を解散しろ、というもの。商業的に売れない劇団員たちのオトナの青春群像劇の幕が開きます…。
短編集『Story Seller 3』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]
新潮社が放つALL読み切りの短編集第3弾『Story Seller 3』の紹介です。私が読んだのは2010年4月刊行の小説新潮五月号別冊「Story Seller Vol.3」を文庫化したもので、約1年のタイムラグがあります。
今回の収録作家は以下の7名。収録順に
沢木耕太郎、近藤史恵、湊かなえ、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、さだまさし(敬称略)。
私の注目は初参戦の湊かなえさんとさだまさしさん。特にまっさん(さださん)は音楽ではパワープレーで聴いているミュージシャンですが、小説は初めて読んだので、新鮮でした。
ここから気になった作品について少しずつレビューを書きます。
今回の収録作家は以下の7名。収録順に
沢木耕太郎、近藤史恵、湊かなえ、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、さだまさし(敬称略)。
私の注目は初参戦の湊かなえさんとさだまさしさん。特にまっさん(さださん)は音楽ではパワープレーで聴いているミュージシャンですが、小説は初めて読んだので、新鮮でした。
ここから気になった作品について少しずつレビューを書きます。